アメリカを訪問したイラクのアバデイ首相は、オバマ大統領との会談のなかで、イエメン紛争について意見を交換した。彼はサウジアラビアと湾岸諸国などの、連合軍側の攻撃が続けば、やがてイエメン紛争は地域全体に、拡大する危険があると語った。
アバデイ首相はこの点について、オバマ大統領も紛争を出来るだけ早く、阻止したいということについて、同意見だったと述べた。またアバデイ首相はサウジアラビアのイエメン内紛介入は、容易なことではないとも語っている。
そして、アバデイ首相はイランがイエメン紛争の解決に努力する意向だが、この点については、サウジアラビアがイランのイエメン紛争への関与を望んでいない、ということも明らかにした。
他方、ホワイトハウスのスポークスマンが、オバマ大統領はサウジアラビアに対して、何の批判も行っていない、ということを明らかにした。アメリカは現在の段階では、サウジアラビアを始めとする、連合国側の支援をしている。
在米サウジアラビア大使はこの点について『イラクは隣国からの介入があり、ISがシリアからイラクに侵攻していることもあり、悩んでいるのであろう。』といった内容の極めて外交的な、楽観的意見をコメントをしている。
しかし、アバデイ首相が懸念するように、サウジアラビアのイエメン内紛介入が、長期化すれば、それは湾岸諸国全体に影響を及ぼしていくことになり、決して楽観できるものではなかろう。
また、アメリカもイラクでのIS対応で、イランとの協力対応を選択したことを考えると、サウジアラビアとイランが、イエメンで対立しているなかでは、今後極めて難しい選択を、強いられていくことになろう。アメリカはサウジアラビアとイランという敵対国同士と、同時に友好的な関係を、進めていかなければならないからだ。
サウジアラビアはイランのイエメン紛争への介入は、レバノンやシリア、イラクに次いで、イエメンをも影響下に組み込もうという意思が、イランにはあると考えての、今回の強硬対応であろう。
述べるまでもなく、サウジアラビアも国内に、アルカテーフ地区のシーア問題を抱えているし、サウジアラビアの追従国のような立場にあるバハレーンも、同様にシーア問題が悪化してきているのだ。それだけに、イエメン内紛への介入は、相当難しい選択をして、行動していかなければなるまい。