トルコの経済界はいま苦しい状況に、追い込まれているようだ。その原因はトルコの政治にある、と財界人たちは指摘している。国内政治では世俗化、民主化、マスコミ報道の自由が問題になっており、外交面では決定的なミスが目立っている、と指摘している。
つい数年前まで、トルコは中東地域にあって、民主化を推進する国であり、アラブ世界、とくに湾岸諸国では、世俗主義国家であり、民主国家のモデル、とみられていた。
トルコのテレビ局が衛星放送で流す連続ドラマは、新しい時代や歴史的遺産を、これらの国々にイメージさせ、トルコの繊維製品を始め、多くの製品が飛ぶように売れていた。
しかし、トルコのエルドアン政権が切り出した外交のカードは、エジプトとの関係を破壊し、シリアとは壊滅的な関係になり、湾岸諸国でも悪化した。リビアではトルコのビジネスマンが、追放される事態すら起こっているのだ。
繊維業界のある代表は『以前はエジプトに行くと、大歓迎され即座に契約が決まっていた。我々の製品はデザインも素材もよかったからだ。しかし、いまは全く違う展開になっている。歓迎されないばかりか、実質的な税率の引き上げがあり、輸入禁止が目立っている。』と語っている。
ヨルダンでもしかりであり、サンフラワー・オイルを輸出していた、業者が語るところでは『なぜ輸入してくれないか、と質問したら34パーセントの課税が行われるようになった。とても売れない価格だ。』と返答があったということだ。
いまではトルコ製品は歓迎されず、エジプト、ヨルダン、レバノン、リビアでは壊滅的な打撃を、受けているということだ。そのような状況の中で、例外的に北イラクのクルド自治政府との貿易は、いまだに以前同様の状態にある、ということだ。
こうした状況は、トルコ国内の失業率に、影響を及ぼしてくることになる。IMFの予測によれば、2014年9・9パーセントだった失業率は、2015年には11・4パーセントに増え、2016年には11・6パーセントに達するだろう、という見通しだ。
これから数年間、トルコの国内外政治が変わらない限り、トルコは近隣諸国との貿易で、マイナス傾向で推移することを、覚悟しなければなるまいし、国民は高インフレと失業に、悩まされることになろう。