大本営発表のような派手な戦果が、サウジアラビアから発表されている。イエメンへの攻撃は次第に関係諸国を、不安に落とし入れているようだ。それは、サウジアラビア空軍による、空爆のもたらす被害が、あまりにも大きいからだ。
現在、イエメンの政党政府のトップであるハーデイ大統領は、サウジアラビアのリヤドに滞在し、国外から指揮を執っている。彼の強硬な対応に対して、反発しているアンサール・イスラムのスポークスマンは、対話による解決を、望むと語っている。
こうした動きに対して、アメリカ政府は次第に懸念を、大きくしているようだ。それは、述べるまでもなく、民間人の空爆による死傷者が、激増しているからだ。幾つものソースから出されている犠牲者数は、1000人を超えるものもあるが、アメリカ政府はイエメン民間人の犠牲者数は、648人だと発表している。
なぜこれだけ多くの犠牲者が3月26日以来の、サウジアラビアの空爆で出たかといえば、サウジアラビア空軍の空爆が学校、病院、難民キャンプ、ホテル、スポーツ競技場などにも、行われているためだ。
このことについて、サウジアラビア政府はホウシ派側が、これらの施設に武器を貯蔵しているからだ、と説明している。
アメリカのCIAは、このサウジアラビアによって始められた、イエメンに対する戦争は、1年程度は継続するだろうとみている。それは、イエメンンの山の多い地形や、イエメン人の性格などに加え、この戦争がイランとサウジアラビアの、代理戦争の様相を呈してきているからであろう。
イランは最初の段階から、イエメンの反政府勢力である、シーア派のホウシ派を支援してきているが、最近では、サウジアラビア空軍による空爆もあり、地対空ミサイルを供与し始めている。
こうなると、アメリカとしては単に軍事偵察衛星によって得られた、ホウシ派の動向を知らせ、軍事的なアドバイスをサウジアラビアに対して行うだけではなく、何としてもイランのホウシ派に対する武器供与を、阻止しなければならなくなってきている。
現在、アメリカ海軍は紅海の出口のバーブルマンデブ海峡や、イエメンの沿岸のインド洋で臨検を始めており、武器を積載していそうな船舶を、取り締まっている。
サウジアラビアは金に糸目を付けず、無差別的な空爆を続行し、貧しいイエメン人が死亡するという構図は、どうみても世界の支持を、イエメン側に付けてしまうことになろう。その状態はアメリカにとっては、不都合極まりないことなのだ。