『トルコが影を薄くしイランが前面に出る』

2015年4月12日

 

 地域の大国であるトルコは、他のライバル国と比べ、自国がどの位置にあるか、気になるところだ。トルコがいま一番ライバル意識を持って、見ている国はイランであろう。

 そのイランが国際的に台頭してきていることは、トルコにとって必ずしも嬉しいことではない。イランはアメリカとの間で、長期間にわたり続けてきた核交渉で、一定の成果を上げることができた。

 その結果、欧米諸国はいまイランとの経済関係を、強化しようと動き出している。多くの古びた工場の機械や壊れたインフラなど、欧米諸国の企業にとって、喉から手が出るほど乗り出したい仕事が、山積しているのだ。

 加えて、イランの持つエネルギー資源のガスや石油も、長い間手付かずであったために、一日でも早く乗り出したいだろう。つまり、イランはいま国際的に、脚光を浴びている国家だということだ。

 イランはイラクやシリアにも、しっかりと根を張っており、将来的にも良好な関係を、発展させていけよう。イラクではテクリートの解放闘争で、イランは将兵を派遣しているのだ。それはISを打倒するために他ならない。

 レバノンにはヘズブラがおり、イランとは特別な関係にあるし、ヘズブラそのものはアラブの対イスラエル闘争で、しかるべき地位を占めている。

 シリアのアサド体制とイランとの関係は、述べるまでも無く良好だ。トルコがどれだけ力んでみても、最近の国際的な潮流はアサド体制を残し、問題を解決する方向に流れており、トルコが望むような、アサド体制打倒の可能性は、ほとんど費えてしまった。

 イランの核交渉で見せた粘り越しと交渉上手は、欧米をしてうならせ、イランに対する評価が上がっているが、トルコはその反対側で、欧米との関係改善でもがいている。

 在米大使を勤めた経験のある、トルコのロオール氏は『アメリカは地域でもっとスマートで、安定したパートナーを求めている。』と語っているが、それはトルコではなくイランだ、ということを間接的に示しているのだ。

 オバマ大統領とエルドアン大統領は、3276ヶ月ぶりに電話対談したが、それはイラクやシリアに対する、ドロ-ンを使用した攻撃ができることへの同意を求めるためであり、イエメン内紛への介入をめぐる内容だった。

 トルコはサウジアラビアとの関係改善に、イエメン内戦に介入できまい。それはトルコ国内でどのような反応が起こすかわからない。選挙が6月に控えているいま、エルドアン大統領には打つ手が無い、ということであろう