シリアは内戦以来、アラブ諸国や欧米との関係が途絶えていた。そのなかで例外だったのは、ロシア、中国、インドネシアなどで、シリアに外交官を派遣し続けていた。
最近になって、ヨーロッパ諸国がシリアとの関係を、回復する傾向が出てきていることもあるのだろうか。チュニジアはシリアとの外交関係を、再開する方向で動き出している。
チュニジア政府に言わせれば、自国の若者たち3000人が、シリアでIS(ISIL)側に立って参戦している、という問題があるからだ。彼らが帰国してチュニジア国内で、テロ活動を始めたのでは、チュニジアは危険な状態になろう。
そのため、シリアにいるチュニジア人ジハースト対応を、主な目的とする外交活動を始めようということのようだ。チュニジアでは先月、バルド博物館がテロリストによって襲撃され、外国人観光客21人が犠牲になっている。
当初は領事レベルの派遣となるようだが、いずれにしろシリア側からすれば、大きな外交的前進であろう。シリア政府はもしチュニジア側が希望するなら、大使を派遣すると応えている。
チュニジア政府は2011年の革命勃発以来、外交関係が断絶しているリビアに対しても、外交チャネルを開く用意があると語っている。チュニジアのバルドで、テロを博物館襲撃を行ったテロリストは、リビアで訓練を受けていたという情報もある。
観光立国のチュニジアにしてみれば、テロリストが跋扈する状態では、国の経済が成り立たなくなる。なんとしても、シリアやリビアと協力して、テロの拡大を抑えたいということであろう。
もうひとつの可能性は、アメリカとイランとの関係が核問題をめぐる交渉の進展で、改善する方向にあることに、起因しているのではないか。述べるまでもなく、シリアとイランとの関係は強く、シリアを通じてイランとの関係を開いていく可能性もあろう。
イランのアメリカとの核交渉の大幅な前進は、中東地域全体に変化をもたらすことになりそうだ。そうなるとどの位置に立つのかということで、苦慮する国も出てくる。例えばトルコでありパレスチナのハマースがそれだ。
トルコとハマースはイエメン内戦をめぐり、イラン側に立つのかサウジアラビア側に立つのか、頭を痛めていることであろう。