『イランはサウジアラビアにイエメンから手を引けというが』

2015年4月 4日

 昨年後半から激しさを増していた、イエメン内紛が遂に周辺諸国の介入を招き、本格戦争と呼べるようなレベルに発展している。

 このイエメン内戦に対し、サウジアラビアを始めとするアラブ湾岸諸国は、一様に強い不安を抱くに至った。それはこれまであった、イランに対する脅威が現実のものとなり、イエメン内戦で増幅されたからだ。

 イエメンではいま政府軍と、ホウシ派と呼ばれるザイデイ・シーア派が戦っている。それにアルカーイダが参戦し、その他の小グループも戦闘に参加しているのだから、もうイエメンだけでは、収集が付かなくなったということだ。

 アメリカ政府はイエメンの危険度が、ピークに達したとして、100人の特殊部隊を引き上げたが、そのことは、今後イエメン内戦が激しさを増していくという、予測によるものであろう。

 イラン政府は今回のイエメン内戦について、そもそもは昨年9月にホウシ派が要求した、革命組織を政治組織として認め、内政に参加させろということを、イエメン政府が拒否したことに、起因すると語っている。

 それはそうかもしれないが、イランは必ずしも正義の仲介者とは、言い切れない部分がある。ホウシ派を支援しているのがイラン政府であり、イラン政府がアラビ半島を包囲することを、目的としてホウシ派を支援しているからではないかと思われるからだ。

 そもそも何処の戦争でも、戦争は戦闘員ばかりではなく、巨額の資金を必要とし、武器も必要なのだ。常識で考えれば、諸外国に支援されるイエメン政府軍と戦うには、それ相応の武器と資金が要るということになろう。

 結果的に、サウジアラビアとアラブ湾岸諸国は、エジプト軍を頼りにし、モロッコやパキスタンとも、イエメン政府側を支援するように取り決めた。その結果、イエメン内戦はますます激しさを、増しているということだ。

 イランはこれまでもアラブ湾岸諸国と、敵対的な関係を維持してきており、今回のイエメンのホウシ派に対する支援は、紅海の出口にあるバーブルマンデブ海峡を、牛耳ろうという考えからではないのか。

 その目的が達成されれば、イランはペルシャ湾の出口のホルムズ海峡と、紅海の出口のバーブルマンデブ海峡を押さえることになる。そうなればアラビア半島は機能しなくなる可能性があるのだ。

 それだけ重要な動きが起こっているさなか、何故アメリカは簡単にイエメンから、特殊部隊を撤退させたのか。アメリカとイランは核交渉が詰めに段階にあるからか、アラブ湾岸諸国に何らかの変革を、もたらすつもりなのだろうか。