『エジプトは大変化する』

2015年4月 2日

 

 エジプトに出かけてきた。この国は何時行っても、中東を見ている人間にとってはセクシーだ。常に変化があり混乱があり、人が生きているからだ。人はその変化のなかで、ものすごいエネルギーを使いながら生きてるからだ。

 カイロの友人に会って、1月以来の変化を聞いた。エジプトは経済困難と政治的不安定、ムスリム同胞団の止まないテロと、シナイ半島のテロで外から見る分には、極めて危険な国ということになろう。

 確かにある程度の危険はあるが、通常の生活には特別に危険を感じない。しかし、それは安全圏で行動するということが前提だ。何処に行っても安全というわけではない。観光目的でエジプトを訪問する人は、何処が安全であり何処が危険かを、知ってから出かけるべきであろう。

 さて、いまエジプトがどういう状態にあるかと言えば、資金難、テロということになろうが、この国はお化けのような国だ。そうした混乱のなかで、世界の首都を建設する計画が進んでいる。

 現在、カイロ市は古くなり過ぎたので、新しいカイロ市が隣接して出来上がっているが、これは巨大の一語に尽きる。広大な面積に豪華な住宅が延々と並び、オフィス街にはやはり巨大なビルが立ち並んでおり、ショッピングモールとレストランが一体となった公園のようなエリアもある。日本では見られない大きな規模だ。そこでは高級外車で出かけるエジプト人たちが沢山おり、食事やお茶会話を楽しんでいる。日本では見られない優雅な生活ぶりだ。

 その新カイロ市の隣りに、シーシ大統領は新たにカイロ市を建設する、と発表したのだ。それは第二スエズ運河を建設し、来年半ばには完成する予定だが、その第2スエズ運河の両岸が、工業地帯やストックヤードなどになるため、この新カイロ市を建設することによって、機能を高めるということのようだ。

 シーシ大統領はこの新カイロ市は、エジプトだけのものではなく、世界の首都にするとぶち上げている。最も進んだ都市にしようということのようだ。湾岸諸国はもちろんのこと、エジプトが持つ中東とアフリカでの役割を考え、欧米諸国も既に、進出を検討し始めている。

 さてこの新カイロ市の建設には、莫大な費用がかかることと思われるが、イエメンの騒乱が湾岸諸国の、出資を煽っているようだ。中東諸国の中でエジプトは最大の軍事力を持ち不沈戦艦ではないが、消え去ることの無い大国だからだ。湾岸諸国の財閥たちはカイロに投資することにより、自分の財産とビジネスを守ろうということであろう。