昨日、インターネットを通じて流れた情報は、世界を震撼させたことであろう。世界最大の産油量を誇る、サウジアラビアの国内状況が、危機にさらされていることが、明らかになったからだ。
サウジアラビアの内務省は、IS(ISIL)のメンバーや関連していると見られる容疑者を、93人も逮捕したのだ。そのなかには9人のサウジアラビア人も含まれており、女性もメンバーだったと伝えられている。
サウジアラビアではこれまでも、何度かIS(ISIL)がらみの、テロ事件が起こっており、3月にはアメリカ大使館がその標的となっていたが、未然に防ぐことが出来ている。加えて外国人用の居住区である、コンパウンドもテロの標的になっていた。
これら一連のテロ攻撃を計画しているグループは、自分たちのことを、ジュンド・ビラード・ハラマイニ(二聖地の国家の兵士)と名乗っている。彼らの多くは、サウジアラビアのなかでも、最もイスラムに厳格な、カスイーム地域の出身者たちだということだ。
このカスイーム地域には、IS(ISIL)を始めとした、テロリストの軍事訓練所が設けられており、そこで訓練を受けた者が、特攻攻撃に及んでいた、ということのようだ。
彼らはアメリカ大使館や、外人用コンパウンドのほかにも、サウジアラビアの治安本部のビル、軍のヘッド・クオーターなども標的としていた。サウジアラビアの内務省のマンスール・アルトルキー准将の語るところによれば、これまでに、5度のテロ攻撃が計画されていたという話だ。
何故この時期にIS(ISIL)がサウジアラビアで、活発に動き出したのであろうか。もちろん、サウジアラビアがこれまで、IS(ISIL)などテロリスト組織に対して、内定を進めており、このタイミングで逮捕に及んだ、とも取れよう。
サウジアラビアはいま、イエメンの内紛に関与し、毎日のように空爆を行っているが、そのことはイランとの関係を、悪化させていることは事実だ。つまり、イエメンがらみで、サウジアラビアがイランから、軍事攻撃を受ける危険性があるのだ。
これからサウジアラビアは、国内外的に追い込まれていきそうだが、それは石油価格と生産量が、不安定化する予兆でもあろう。日本は官民共にその事態に、備えておくべきではないのか。