イラクからIS(ISIL)が弱体化している、という情報が流れてきた。現在IS(ISIL)は23もの、小さな組織に分裂している、ということのようだ。すでに、IS(ISIL)のメンバーはリーダーの命令に、従わなくなってきているということだ。
その現象には幾つもの理由がある。たとえば、これまでIS(ISIL)に従順に従ってきた、地域の住民がIS(ISIL)に対して、不服従の立場を、取り始めたことだ。地域住民はIS(ISIL)の命令に従わなくなったのだ。
それは、IS(ISIL)が繰り返している犯罪行為に、反発し始めたためであろう。イスラム法による裁判と称して、何十人もの人たちが殺害され、若い娘たちは強制的に、IS(ISIL)の戦闘員と、結婚させられるのだから、無理もあるまい。
モースルでは、地域住民が反IS(ISIL)の戦闘部隊を、結成したとも伝えられている。これらのIS(ISIL)に対する、レジスタンス・グループはIS(ISIL)幹部の殺害に、既に成功しているのだ。
その動きに加え、イラク軍も最近になってIS(ISIL)に対し勇敢に戦い、攻勢に出ているのだ。しかも、イラク軍にはイラク警察、クルド、シーア、スンニー、クリスチャンなどの宗教的は別なく、ミリシア部隊を結成し、戦闘に参加するようになってきている。
もう一つの理由は、アブーバクル・バグダーデイが重傷を負ったことだ。そのため彼には組織を指導していく能力がなくなっていることだ。その結果IS(ISIL)内部には何人ものリーダーが誕生し、互いに対立し始めているのであろう。
いまでは、IS(ISIL)
のメンバーは戦闘参加にあたって、給与の引き上げを要求し、より良い地位を求めるようになってきている。実はこのことが、最大の問題なのではないのか。最近になって、IS(ISIL)の台所事情は、めっきり悪化している。
イラクの専門家の語るところによれば、IS(IS(ISIL)はもともと、それほど強くはなかったが、地域住民の支援を受けて、強化されていた。そして、アラブ湾岸諸国や西側諸国からの、資金的援助があったからだ。
資金援助や情報提供、物資の支援が無い状態では、IS(ISIL)は有利には戦えないのだ。現在では、IS(ISIL)は弱体化している。そのうえ幾つもの組織に、分裂し始めているのだ。』と分析している。こうした実情から、IS(ISIL)の組織から組織の資金を盗んで、逃げ出す幹部が、出始めているようだ。
だいぶ前から書いてきたが、IS(ISIL)がなぜ強かったのか、そしてなぜいまの段階になって、急に弱くなり始めたのか、それはイラクやシリアにおける、IS(ISIL)の必要性が低下した、ということに原因があるのではないのか。そうなると、次の戦地と予測されるリビアが、危険度を増していく、可能性があるのではないのか。
『IS(ISIL)がイラクで弱体化顕著』
2015年4月24日