『リビアからの友人の来訪』

2015年3月23日

 

 2年ぶりであろうか。リビアから親しい友人が来日して、早速会うことになった。彼は長い付き合いもあることから、いろんな話が出た。もちろん、第一の関心事はリビアの内情であり、遠慮のない質問をさせてもらった。

 リビアにはいま二つの政府があることは、既にこの欄でご紹介したが、それだけではないようだ。それぞれの政府の内部にも対立があるという話だ。たとえば、世俗派といわれる国際的に認められている、シンニー首相を中心とする政府のなかには、ハフタル参謀長やアブドッジャリール元首相がいる。もちろん、それに加えてシンニー首相がいるわけであり、これらの要人同士のさや当てが、結構激しいようだ。

 友人曰く『要は金だよ』ということであり、それでは二つの政府があるリビアには、二つの中央銀行があるのかと聞いてみた。彼曰く二つあるという返事。それぞれに運営しているが、最近ではトリポリにあるイスラム原理主義政府には、金が無くなってきているようだ。

 それは唯一の財源である石油収入を、シンニー派の世俗政府がほとんど、独占しているからだ。石油代金のほとんどが、シンニー政府の外国口座に入っており、それをシンニー派の中央銀行が、抑えているということのようだ。それではカダフィの隠し財産はと聞いてみたが、ほとんど各地区のミリシアが探し当てて、跡形もなく消えたと語っていた。

 ついでに、カダフィ大佐の二男サイフルイスラームの今後について尋ねると、彼には何の将来の役割も、無いだろうということだ。それでは今のリビア国民のなかには、カダフィ時代がよかったと思う人たちはいるか、と尋ねると『それはいるが、そのことを言っても何の意味もなくなった。これからは新たにしっかりした政府を、作っていかなければならない。』と答えた。

リビアの庶民の生活はだいぶ厳しいようだ。政府自体が資金難に陥っているのだから無理もない。リビアはかつて、160万バーレル/日の石油を生産していたが、いまでは2030万バーレル/日にまで、下がっているのだ。

 意地悪な質問だったが『リビアはあと何年ぐらいで、正常の状態に戻れるか?』と聞いてみた。彼の答えは『わからない』というものだった。その通りであろう。いまのリビアには外部から、多数のミリシアが入り込んでおり、国民各派が集まって会議を開いたとしても、それに従わない外部勢力が多数いるのだ。

 チュニジアでテロが起こった後、チュニジア政府はリビアで、訓練を受けていたと語ったが、そのテロリストはチュニジア人だった。いまのチュニジア、アルジェリア、リビアは国境が存在しない状態になっているのだ。