『リビア石油はしっかりしている』

2015年3月20日

 カダフィ大佐が殺害された、リビアの『アラブの春革命』は、その後、リビアを地獄に変えてしまった。カダフィ時代にはただで手に入れられたものや、国家の負担で済んでいた医療、教育がそうはいかなくなったのだ。

 それどころか、毎日口にするパンや肉、野菜ですら、事欠くようになってしまっているのだ。一体リビアという国はどうなっていくのか、国民はどう生活していくのか、と心配になっていた。

 リビアにはいま二つの政府が存在している。東側のトブルク(ベイダに移転という情報もある)を首都とする世俗政府と、西側のトリポリを首都とするイスラム原理主義政府だ。

 国際的には、トブルクの世俗政府が認知されており、トリポリのイスラム原理主義政府ではない。しかし、トリポリを拠点とする政府も、それなりに発言力は持っている。

 この二つの政府にとって、最も関心の高い問題は、石油の生産と販売であろう。そこで両政府は石油の生産地域と、石油の積出港のコントロールのための、戦闘を繰り返してきている。

 一時期は、160万バーレル・日の生産を誇っていたリビアが、今では230万バーレル・日程度にまで落ち込んでいる。それでも石油は輸出されているようだが、その代金はどうなっているのか、といったこまごまとした興味が、わいていた。

 そうした中でヨルダンタイムズ紙は『リビアの国営石油会社は、独立して操業している』という内容の記事を発出した。それによれば、リビア国営石油会社(NOC)はいずれの政府の影響も受けることなく、中立的な立場で操業を続けている、ということだ。

 もちろん、双方の政府はリビア国営石油会社を牛耳るために、国営石油会社の総裁に、自分たちの押す人物を、据えようとしている。トブルク政府は新たな総裁を立てて、就任させようとしているが、トリポリ政府は現職の総裁でいい、としている。

 もう一つ重要な点は、石油代金がどこで管理されているか、ということだ。現在、外国の企業がリビアの石油を購入した場合、その代金はこれまで使われていた、リビア石油の口座に振り込まれるようになっている。

 そして、その口座はリビア中央銀行が、管理しているということだ。それならば心配あるまい。食糧の輸入やその他の物資の輸入も、間違いなく決済されている、ということだろう。