『改善期待薄エジプト・トルコ・カタール関係』

2015年3月 1日

 

 先日、カタールの首長がエジプトとの関係は悪くない敵意も無いという内容の発言をした。これに答えた形でエジプトのシーシ大統領も『エジプト政府はカタール政府を公式には非難していない。』と語っている。しかし、エジプトのマスコミはカタールの非難を止めていない。

 それは当然であろう。エジプトがアラブの春革命のとき、カタールのアルジャズイーラテレビは、もっぱら反政府側を支援する報道をしていたし、問題の起こっている場所には、カメラを固定して放映し続けてもいた。

革命後もムスリム同胞団のモルシー政府支持を繰り返し、シーシ国防大臣によるクーデター後は、激しい非難報道を繰り返していた。その後、アルジャズイーラのスタッフは革命扇動などで、投獄され裁判にかけられていた。

そもそもカタールはムスリム同胞団の重鎮であるカルダーウイ師を、未だにかくまい続けてもいるのだ。最近では最も危険なムスリム同胞団の幹部が、カタールに入り治療を受けており、そこをカルダーウイ師が見舞っている、ということも報じられた。

エジプト政府にとってカタールを許せないのは、エジプト国内への関与ばかりではない。現在カタール政府はリビアの反政府勢力を、支援し資金や武器を与えているのだ。このことはリビアの反政府側に大きな影響力を持つ、エジプトのムスリム同胞団の立場を強化するものだ。

リビアにいるムスリム同胞団は、やがてリビアを完全掌握すれば、エジプト側に攻勢を強めることは必定だ。もちろん、現段階でもリビア在住のムスリム同胞団が、エジプトの各地で起こっているテロの、背後にいることは間違い無かろう。

このカタールと連携してリビアのイスラム勢力を、支援しているのはトルコだ。リビアの世俗派正統政府の代表であるシンニー首相は、トルコがリビアのイスラム勢力に、武器を供与していると非難している。

トルコとカタールはシリア問題でも、連携している。カタールがISに資金を提供し、トルコが武器や戦闘員のISに流れる、手立てをしてきているのだ。なにやらトルコとカタールは、自国の地域への影響力を行使できていることに、喜びを感じているのではないか、とさえ思えるような行動に出ているのだ。

しかし、こうしたトルコの行動はエジプトとリビアへの関与から、アフリカ諸国での信用を、失っていくことになるのではないか。それは、トルコとアフリカ諸国との通商にも、悪影響を与えていくのではないのか。