エジプトのシナイ半島にあるシャルム・エルシェイク市で・経済会議が開催された、そのなかでアラブ湾岸諸国が、エジプトに対して、120億ドルの支援を送ることを決めた。
その額は最終的には、150億ドルから200億ドルに達するのではないか、と見られている。クウエイト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が、経済支援の中心だが、これにオマーンも加わり、流れによってはカタールも、参加せざるを得なくなるかもしれない。
現時点では、アラブ首長国連邦の20億ドルの、エジプト中央銀行への融資が決まり、加えて、サウジアラビアの10億ドルの中央銀行への融資が決まっている。そして、オマーンは向こう5年間にわたる援助と、投資を発表している。
エジプト政府は外国からの投資額が、倍になることを希望しており、2億ドルの工業部門への投資、職業訓練施設の開設が言われているが、これは第二スエズ運河の開通に向けた、地域の開発プロジェクトを、考慮したものであろう。
エジプト政府としてはこれらに加え、19億ドルのエネルギー・プロジェクトのための、34のガスタービンの設置も計画している。
エジプトは会議のなかで、新カイロ市設立も公表している。新カイロ市は5年から7年で完成し、予算は450億ドルが見積もられている。エジプト政府はこの新カイロ市を、世界の首都にするつもりのようだ。
この新カイロ市は数百万戸の住宅街、官庁街、外交公館施設と住宅、などを建設する予定だ。
こうした大規模な外国からの投資と援助で、エジプトは経済成長率を今後5年間、6パーアセントを維持しようと考えている。結果的に、エジプトの失業率は10パーアセントまで、引き下げることが可能だ、と予測されている。
このアラブ湾岸諸国からのエジプトへの、巨額投資は何故実現性が高いのであろうか。それはエジプトの持つ軍事力に対する評価が、再評価されてきているからではないのか。
イラク、シリアで活動を活発化しているISに対し、アメリカと有志連合の攻撃は、必ずしも期待するだけの成果を挙げていない。そして、イランの核兵器への動きに対する対応でも、アメリカは次第に尻込みし始めている。
そうした『アメリカ頼りにならず』という雰囲気が、アラブ湾岸諸国の間で、エジプトの軍事力への再評価と期待を拡大し、エジプトを支えようという雰囲気が、アラブ湾岸諸国の間で、拡大しているのかもしれない。