イギリスのキャメロン首相がサウジアラビアを訪問した、という情報が伝わってきた。そこで彼が誰に会うのかということが問題だ。当然のことながら、サルマン国王との会見があり、次いでムクリン皇太子との会談、ということになるのが普通だ。
しかし、サウジアラビアのアルハヤート紙の2月26日付では、ムハンマド・ビン・ナーイフ王子との会談が、トップニュースになっている。述べるまでも無く、ムハンマド・ビン・ナーイフ王子はサウジアラビアの内務大臣であり、極めて重要なポストにある。
この記事を読んだときにすぐに感じたのは、イギリスの情報機関の能力の高さだ。サウジアラビアのサルマン国王は高齢でもあり、病弱だということは内外で知られている。彼がその職を辞する可能性はそう遠くはあるまい。
その後の国王と目されるのは、当然ムクリン皇太子ということになるのだが、彼は性格的に弱い、という評価がなされている。つまり、多くの困難な問題を抱えている、現在のサウジアラビアの国王には、ふさわしくないとする意見が、少なくないのだ。
そうなると皇太子の次に位置しているムハンマド・ビン・ナーイフ王子の存在が重要になってくるということだ。彼は意欲満々な人物だとも言われている。
王家内部での国王就任序列では、ムクリン皇太子に次いで、ムハンマド・ビン・ナーイフ王子が位置しているということであり、余程のことがない限り、その王位継承の序列は変わるまい。
しかし、彼以外にも意欲満々な人物は、サウジアラビア王家の中にいる。それはムハンマド・ビン・サルマン国防大臣だ。現状では彼がサウジアラビアの権力を、掌握しているといわれている。
加えて、ムタイブ・ビン・アブドッラー国家警備大臣も、意欲満々の人物だといわれている。こうした王家内部の権力をめぐっては、王子たちの間で離合集散が、行われるということだ。
キャメロン首相はこうした、サウジアラビアの国内事情を十分把握した上で、ムハンマド・ビン・ナーイフ王子と会談したということであり、それを評価してアルハヤート紙が、一定の評価をしたからこそ、大きく報じたということであろう。