『ユダヤ人大量移住とそれを支えるシステム』

2015年2月25日

 

 優秀な頭脳を持つユダヤ人の行動は、そのことの内容の良し悪しを問わず、しっかりした計画に基づいているようだ。いま、イスラエルにはヨーロッパから大量のユダヤ人が、移住してくる計画が進められている。

  このことに関係するニュースで、目についたものは3つあった。

第一はソロモン神殿再建に関するニュースだ。その神殿は述べるまでもなく、現在イスラム教のアクサ・モスクがある地区に建設されるものだ。その計画に充てられる土地の面積は13000平米といわれている。

  そのソロモン神殿にはホテルや駐車場、ショッピング・モール、会議場などが併設されることになっており、アクサ・モスクの土地だけではなく、東エルサレムの土地全てを開発しなければならない、ということであろう。当然のことながら、それはユダヤ人とパレスチナ人との間に、暴力的な衝突を生むということだ。

 第二のニュースは、IFCJ (クリスチャンユダヤ国際友好協会)による、ウクライナのユダヤ人のイスラエル移住のための資金提供だ。この団体は50万ドルをこの目的のために、寄付することをすでに発表している。そして、イスラエルに移住したユダヤ人が困らないように、ヨルダン川西岸地区に住居を用意し、安全も守ってやるというものだ。

  第三のニュースは、ヨルダン川西岸地区で入植が、加速して進んでいるということだ。2014年にはその面積が40パーセントも拡大している、と報告されている。

  昨年始まった入植地の住宅建設は、3100戸が計画されており,東エルサレムとヨルダン川西岸地区での入植計画は、4485戸の計画が持ち上がっているということだ。この3100戸の計画のうち、287戸については無許可のものだ。

  イスラエルが計画している入植地建設は、10113戸であり、44の入植地の建設が計画されている。先月イスラエル政府は、450戸の入植地での住宅建設を発表したが、パレスチナ自治政府は戦争犯罪にも指摘するものだ、と強く非難している。

  イスラエルのネタニヤフ首相は、これまでイスラエルとパレスチナという、二つの国家が並立することは、不可能だと主張してきているが、これらの入植地計画を目の前にすると、ネタニヤフ首相は強引にヨルダン川西岸地区や、東エルサレム地区のパレスチナ人の土地を接収し、入植地を拡大するつもりでいることがわかる。

  イスラエル側に言わせれば、いま西ヨーロッパ諸国や東ヨーロッパ諸国で、ユダヤ人が弾圧を受けており、近い将来、もっと危険な状況に追い込まれるのだから、一日も早く彼らを救出したいということであろう。それはそれなりに納得がいかないこともないが??そのユダヤ人救出には、パレスチナ人の犠牲が伴うことも、忘れるわけにはいくまい。