どうもエルドアン大統領にとっては不愉快な状況が、トルコの与党内部で始まっているようだ。ブレント・アルンチ副首相がエルドアン大統領に対する、非難を始めたのだ。彼に言わせると、エルドアン大統領の悪口発言は、内外に敵を増やすだけである、国益にとってプラスではないということだ。
エルドアン大統領は彼の地位を守るために、他を非難する発言を繰り返しているのだが、それは国民の支持を減らすだけで、逆効果だということだ。国民はエルドアン大統領の発言から、ますます大統領の権力が彼の手に集中して行き、独裁的な体制になっていくという、不安を抱いているのだ。
もう一つのニュースは、フェダン・ハカン氏の情報長官辞任にまつわるものだ。この辞任にはエルドアン大統領は反対したのだが、ダウトール首相が了承して2月6日に、辞任が成立したということだ。つまり、フェダン・ハカン氏はエルドアン大統領よりも、ダウトール首相に近かったということであろう。
フェダン・ハカン氏はエルドアン大統領が首相の時代から、全幅の信頼をよせて全てのエルドアン大統領の秘密ファイルを、預かってきた人物だ。それだけに、彼がそのファイルを公開することになれば、エルドアン大統領は一発で、政治生命を失うことになろう。
つい最近、エルドアン大統領はラテン・アメリカ諸国訪問の旅に出たが、一部予定を切り上げて帰国したようだ。それは実は彼が与党内部の分裂を、不愉快に思っていたからだ、という説が出てきている。
口やかましい評論家は、エルドアン大統領が側近の中に敵を持ちすぎ、彼らによる攻撃が始まっているのだと評している。
トルコ中央銀行の頭取は、何度と無くエルドアン大統領によって、金利を下げるよう罵倒されたが、アタライ副首相はバシュチュ中央銀行総裁のことを、立派に業務をこなしている、と高い評価をしているのだ。
また口やかましい評論家たちが語るように、エルドアン大統領はいま、内輪の側近たちから、反対の立場を取られているのではないか。ただ、これら一連の反エルドアン発言は、6月7日の選挙向けであろうという評価もある。
例えば、ブレント・アルンチ副首相は、何故もっとダウトール首相と、強い関係にならないのかというのだ。そしてフェダン・ハカン氏については、MIT(トルコ情報機関)がシリアに送った、武器の秘密を公開すべきだと批判している。
しかし、トルコ人の性格からすると、そう簡単な話ではなかろう。多分に感情のもつれが、政府要人内部で始まるのではないか。そして、それがいままで明かされていなかった、汚職などに関する秘密が、暴露されることに繋がっていくのではないのか。