『クウエイト・バハレーンが不安定化』

2015年2月 2日

 

 アラビア湾岸諸国といえば、石油で豊かさを満喫している国、というイメージがあり、そのために国内は安定している、と思われている。確かにその通りであろう。しかし、クウエイトとバハレーンを比べると、クウエイトは極めて豊かである、バハレーンはその限りではない。

バハレーンは湾岸諸国のなかにあって、最も早くから石油を産出していたが、現在ではほとんど産出しておらず、同国の石油輸出はサウジアラビアが、一つでも王政国家を残したいということから、石油を無償で提供して、バハレーン産のように装っているに過ぎないのだ。

このバハレーンはスンニー派の国王(首長)が統治しており、スンニー派国民は優遇されている。しかし、同国の国民の多数派を占めているのは、シーア派国民なのだ。

これまで、シーア派国民は政府に対し、スンニー派国民と平等の権利と機会を与えろ、と抗議してきている。この運動のなかで、主導的立場のシーア派の人たちが、逮捕投獄されている。

今回も、シーア派国民が72名国籍をはく奪されるという、処分を受けることになった。シーア派は昨年11月に行われた選挙を、ボイコットしているが、スンニー派の国民のなかからも、これに加わる者が出てきている。

バハレーンの民主化運動はすでに、長い時間が経過していることもあり、欧米諸国でもよく知られており、バハレーン政府に対して、批判的な意見が多くなってきている。そうした内外の批判を受けて、今後バハレーン政府は、どう対応していこうというのだろうか。

同様にクウエイトでも、政府に対する抗議活動が、活発になってきている。それはクウエイト建国以来、この国で問題となってきた、ビドーンに関する問題が存在しているからだ。

ビドーン問題というのは、何代にも渡ってクウエイトに居住しているにもかかわらず、いまだにクウエイト国民としての権利を認められていない、無国籍者の人たちのことを言うのだ。

クウエイトのビドーンは、現在11万人おり、そのうちの34000人が、国籍を与えられそうだといわれている。今回アブドッラ―・アルエンズイ氏がビドーン問題で活動していることを理由に、5年間の刑を受けることになった。彼のほかにも2人のビドーンが、投獄されるようだ。

 この湾岸の二か国で起こっていることは、今後の湾岸諸国全体の、不安定化の前兆であろうか。今の段階では判断がしにくい。