イエメンという国名を聞いても、すぐにっ地球上のどこに位置しているのかを、イメージできる人はそう多くはないだろう。イエメンはアラビア半島の南東端に位置する、クの字型の国だ。
以前にイエメンは南イエメンと北イエメンという、二つの国に分かれていたのだが、その後統一されて一つのイエメンの時代が続いていた。しかし、南北の対立はぬぐい難く、再開することとなった。それは南北イエメンの住民が、異なる部族であることや、イスラム教のシーア派とスンニー派に分れているからであろう。
北イエメンの住民はスンニー派がほとんどであり、南イエメンの住民はシーア派のなかのザイデイ派だ。アリー・サーレハ大統領の時代にも対立はあったが、アリー・サーレハ大統領は裏で南イエメンの側とも、連絡を取っていたようだ。南イエメンはホウシ組織が牛耳っているが、このホウシという名前は、アブドルマリク・ホウシ氏が代表であることからきている。
つい2,3日前に、ホウシ派がついにイエメンの首都サナアを支配し、マンスール・ハーデイ大統領は自由だと語っているが、実質的には軟禁状態になっている。何故ならば彼の大統領警備隊は、胡散霧消してしまったからだ。
イエメンで今回起こったことは、日本にはどのような影響があるというのだろうか。イエメンが南側のホウシ派の手に落ちたということは、このホウシ派を支援するイランが、ペルシャ湾の出口のホルムズ海峡と、紅海の出口のバーブルマンデブ海峡を、支配することになったということだ。
これでイランはその気になれば、ペルシャ湾から積み出されるガス石油が紅海を通過しスエズ運河を通って、欧米に運ばれることを、阻止できるようになったという事だ。もちろん、日本製品が紅海を通過して、欧州市場人入っているわけだから、日本にはペルシャ湾から来る石油ガスが止まり、紅海の封鎖によって日本製品の欧州市場への道は 、断たれるということだ。
アメリカ政府はこの緊急事態を前に、すでに軍艦をイエメン沖に送り、大使館員の救出の準備を始めたようだ。以前にイエメンのアメリカ大使館が攻撃を受けて、大使館員が戦い脱出する、という内容の映画があったが、事態は今まさにその映画の状況に、向かっているということだ。
この事態を前に、日本政府や企業は、何か行動を起こしているのだろうか。どうもそうは思えないのだが。あの近辺で日本人の犠牲者が出れば、アルジェリアの場合と同じように官民ともに『まったく残念なことであります、哀悼の意を表します』で終わらせるのか。