ロシアのガス・プロム社はウクライナ経由の、ヨーロッパに繋がるガス・パイプ・ライン・ルートをやめて、トルコ経由だけにする方向だと発表した。これはガス・プロム社のアレクセイ・ミラー社長が、ヨーロッパの代表に対して語ったものだ。
アレクセイ・ミラー社長は『トルコ・ストリーム』が、唯一のロシアのヨーロッパへのガス輸送ルートになると語り、現在ウクライナ経由でヨーロッパ市場に送られている、630億立方メートルのガスは、トルコ・ギリシャ経由となる、ということのようだ。
しかも、それだけではなく、この新しいパイプ・ラインのルート建設は、極めて短期間で行われ、ヨーロパ各国が早急にしかるべき対応をしなければ、ガスは他の地域に輸出される、とも語った。
ロシアのメドベーエフ首相もウクライナに販売した、30億ドル分の代金がいまだに支払われていないことから、この問題をヨーロッパ諸国はウクライナの肩代わりとして、処理する必要がある、と語っている。
このことは、ヨーロッパが今後もロシアのガスを輸入したいのであれば、ウクライナが未払いのままに、放置しているガス代金を、ヨーロッパが代わりに支払え、ということであろう。もしそれが行われなかった場合は、ロシアはガスの売り先をヨーロッパから、他の国々に変更する、という脅しだろう。ロシアは昨年末に、ウクライナが30億ドルを支払った後、ウクライナのロシアに対する債務150億ドル分を、帳消しにしている。
ロシアの今回のヨーロッパに対する脅しは、単なる脅しなのかそうでないかは、今後のパイプ・ライン工事の進捗状況で分ろうが、今後の推移は、ヨーロッパ側にとっては、あまり甘くはないのではないか。
トルコ側にしてみれば、これはまさに朗報であろうが、そのことがかえって、トルコのエルドアン大統領を有頂天にし、冷静な判断をさせなくなるかもしれない。またロシアとトルコは歴史的に、仇敵の関係にあることも忘れてはなるまい。