イラクとサウジアラビアの国境地帯で、サウジアラビア側の国境警備兵が、複数名殺害されるという事件が起こっている。その殺害犯はサウジアラビア人だということだ。4人のサウジアラビア人が国境警備兵を殺害したというのだが、彼らはイラクあるいは、シリアでの戦闘に参加した後、サウジアラビアに帰国する気だったのではないかと思われる。もちろん、そうではなく、てサウジアラビアに対するテロ計画があり、それに沿っての入国だったとも、考えられよう。
この事件は、サウジアラビアのアラール地区で起こったが、このアラール地区はイラクに隣接しており、このイラク側の地域は、現在IS(ISIL)の影響力が、拡大している地域だ。死亡したのはサウジアラビア人将校で、彼以外に2名の兵士が死亡している。それ以外にも、一般人が3人以上負傷したということだ。
この事件後、IS(ISIL)側が犯行声明を出している。アラール地区に隣接するイラク側の地域名はアンバル県であり、このアンバル県ではIS(ISIL)の影響力が拡大している。つまり、アンバル県をほぼ支配下に置いているIS(ISIL)側にしてみればサ、ウジアラビア側の国境警備兵など、問題にしていないが、目障りな存在ということであろうか。
サウジアラビア政府は昨年の7月以来、イラクとの国境地域に対し、厳重な警備を展開している。国境警備兵は昨年7月から、5000人が増員されたということだ。それはサウジアラビア領土に近い、イラク側の地域がIS(ISIL)の手に落ちたことからの、警戒であったものと思われる。
この事件で考えなければならないことは、サウジアラビアの戦闘員が、IS(ISIL)から離脱して帰国を試みたのか、あるいは、IS(ISIL)の作戦に沿って、サウジアラビアに入ろうとしたのか、という点だ。
サウジアラビアの戦闘員がIS(ISIL)の傘下で、行動することに嫌気がさしての帰国であれば、あまり問題はなかろうが、もしIS(ISIL)の作戦に沿っての帰国であるとすれば、今後、サウジアラビア国内は、不安定度を増して行こう。
IS8ISIL)が早々と、サウジアラビアの国境警備兵殺害について、犯行声明を出したということは、サウジアラビアの戦闘員たちが、IS(ISIL)の作戦に基づいて、帰国しようとしたということであろう。
そのことは、今後のサウジアラビア国内状況が、不安定化していくということであろう。もちろん、今の段階では正確な判断をするだけの材料が足りないので、予測を断定的に語ることはできないが。