『エルドアン大統領は何をその箱に詰めるのか』

2015年1月 6日

 

 AKサライと呼ばれるトルコ大統領公邸は、完成前から何かと噂を呼んだ、いわく因縁のある建物だった。まず、このAKサライが建てられた場所だが、トルコ共和国建国の父ケマル・アタチュルクの記念公園の敷地にまたがっていた。当然そのことは、民族派や世俗派にとっては、許しがたい蛮行であったろう。

 もう一つの点は、そもそもAKサライは、首相公邸として計画されたものであったが、途中からエルドアン大統領が自分の公邸にする、と横取りしたものだ。

 137億ドルの建築費と、30万平米の建物は、世界のなかでも最も大きい、大統領公邸として、ギネスブックに載ると揶揄されていた。部屋数は1000部屋といわれていたが、後にエルドアン大統領自身が1150部屋あると言い出し、最近では2000室あり、地下室を含めると、5000室あるといわれている。

 この大統領公邸にはプールやサウナ室、SPS、バスルーム(たぶんトルコ風呂であろう)、映画館なども設置されているということだから一つの街のようなものであろう。エルドアン大統領はこの公大統領邸を、人民宮と呼んでいるというから、笑止千万なことだ。

 トルコがいま膨大な対外赤字を抱えているなかで、これだけ大規模な大統領公邸を建設する理由が、何処にあったのか、庶民の生活はインフレで、厳しさを増しているなかで、いったいどういうつもりなのか、という疑問が湧いて当然であろう。

 そのことに加え、実はこの大統領公邸内部には、チャンバー・ルームというものが、幾つも設置されたということだ。しかも、そのチャンバー・ルームはカナダ製であり、気密性に優れ、安全装置が厳重であり、ハイテク仕様であり、特別デザインだということのようだ。しかも、それは普通の部屋ほどのサイズであり、一つではなく何室もあるというのだ。巨大な安全ボックスと呼ばれているこの部屋は、いったい何に使われるのであろうか。

 以前にも書いたが、こんな贅沢な大統領公邸を建設したのでは、必ずそのことが国民の怒りを買う時が来るだろう。その時、エルドアン大統領はこのチャンバー・ルームのどれかに逃げ込むのであろうか。あるいは膨大な額のわいろを、仕舞い込むのであろうか。