『増えるユダヤ人のイスラエル移住』

2015年1月 2日

 

 2015年以降の世界情勢は、緊張の度を増していくだろう、というのが一般的な予測であろう。経済的混乱は欧米でも中国でも、ロシアでも見られ、韓国に至っては、既に国家が死に体に、なっているのではないか。

 そうしたなかで誰もが考えるのが、何処に移住したら安全の度合いが、他よりも高いか、ということであろう。安全に対して最も敏感な民族は、多分、ユダヤ人であろう。

 それは、ユダヤ人の歴史があまりにも、悲惨だったからであろう。歴史のなかで学んだユダヤ人たちは、イスラエルという彼ら独自の国家を創り上げることによって、安全を少しでも確保しよう、と考えているのであろう。

 もちろん大樹の陰ではないが、大国や強国に居住することによって、安全を確保したい、という考えもあろうが、それはロシアやドイツの例からも分かるように、必ずしも安全を確保してくれる、とは限らない。

 ユダヤ人の安全のための大移住が、昨年から顕著になっている。イスラエル政府の発表によれば、2014年のイスラエルへの、ユダヤ人移住者の数は、過去10年間で最高だった、ということのようだ。

 2014年にイスラエルに移住した、ユダヤ人の数は26500人で、2013年に比べ、32パーセント増えているということだ。そのうちの6600人は、フランスからの移住者であり、その数は2013年の移住者数3400人を、はるかに上回るものだ。

 そして2015年には移住者の数が、30000人を超えるだろう、と予測されている。ウクライナの紛争で、同国から移住したユダヤ人の数は、20145840人に達している。またロシアからも、4830人が移住している。

 移住者を年齢層で見ると、34歳以下が半分を占め、17歳以下が5300人となっている。なかには910年生まれの男性も、含まれているということだ。

 フランスから1990年以来移住した、ユダヤ人の合計数は、90000人を超えており最高だ。これはフランスが意外に、人種差別の色の濃い国だということと、イスラム教徒の人口が、増加していることが、原因ではないだろうか。

 イスラエルは彼らユダヤ人が考えるほど、安全であり快適な国では、ないのかもしれない。2014年に起こったガザ戦争後、多数のユダヤ人の若者が、自殺してもいるのだ。

 こうしたイスラエルへの、ユダヤ人の移住増加は、同時にイスラエル政府に彼らを受け入れる、施設と土地の確保を、義務付けることになろう。移住者たちの多くは、地中海沿岸の諸都市に居住することを、希望しているようだ。

例えばテルアビブ市がそれだが、それ以外には首都のエルサレムが、希望されているようだ。しかし、それを実現するためには、東エルサレムでの強引な入植地建設が、必要となろうし、ヨルダン川西岸地区での入植地開発も、進めざるを得まい。

そのことは、今後ますますイスラエルは、パレスチナ人との緊張を高めていく、ということに繋がり、移住者たちが考え、夢に見ていたユダヤ人の、安堵の地イスラエルとは、異なるものになっていこう。