フランスの首都パリで、雑誌社シャルリー・エブドが、テロリストによって襲撃され、12人が犠牲となった。このテロ事件は世界中に伝えられ、世界的なテロ非難と報道の自由が、叫ばれた。
テロ事件が起これば、誰もがイラクやシリアで猛威を振るっている、IS(ISIL)との関連を考えるであろうが、今回のパリのテロは少なくとも、IS(ISIL)との直接的な関わりは、無いようだ。
しかし、忘れてならないことは、これまでに1000人のフランス人がIS(ISIL)に参加し、戦闘に加わっているという事実だ。今回のテロとIS(ISIL)との関連がなくとも、イラクやシリアから帰国した、IS(ISIL)のメンバーが、今後、フランスでテロ事件を起こす可能性は、今回のテロ事件を機に、高まるのではないか。
フランスは植民地時代に、イスラム教徒の多い北アフリカ地域を、植民地としていたことから、何百万人というイスラム教徒の移住者が、パリをはじめフラン国内各地で、生活している。
彼ら移住者の2世3世は、仕事にあぶれている者が多いことから、常に社会的な混乱の元凶とみなされてきている。先日もフランスでは、1000台の車が放火されるという事件が、起こったばかりだ。フランスではイスラム教徒に対する差別が、他のヨーロッパ諸国に比べて強いのかもしれないし、同国の経済状態がよくないことも、不満の原因であろう。
トルコのイスタンブール市内の、観光スポットで起こったテロ事件は、どうやらロシア人女性による犯行だったようだ。もっと正確に言えば、彼女はチェチェン人であり、トルコの左翼組織DHKP/C(革命的人民解放党)のメンバーだったようだ。
したがって彼女も、彼女が所属していたDHKP/C(革命的人民解放党)も、IS(ISIL)とは無縁の存在であろう。左翼思想とイスラム原理思想は水と油であり、両者の間には、接点がないのが当然だからだ。
しかし、この場合もパリのテロ事件同様に、トルコ国内のイスラム原理主義者たちが刺激されて、テロを起こしていく可能性を、高める効果があったのではないか。そのことは、パリのテロ事件と合わせ、IS(ISIL)にしてみれば、まさに歓迎すべき出来事であったろう。
過激な行動は世間や世界の耳目を集め、反体制派やイスラム原理主義者たちの間では、テロ実行犯たちは、英雄的に捉えられるのが普通だ。
こうした過激なテロ活動を抑えるためには、世界の英知を集め、対応策を真剣に検討しなければ、ならないだろう。ヨーロッパや中東で起こるテロが、日本では起こらないと考えたり、日本人は狙われていないと考えるのは間違いだ。
ヨーロッパや中東で起こるテロ事件に、日本人が巻き込まれる、可能性は多分にあろう。パリの事件では、現場のすぐそばに、日本レストランがあったようだ。