トルコのエルドアン大統領とダウトール首相が、EUに対して強気の発言をしている。それが興味深いので紹介しておこう。
まずダウトール首相だが、彼は『10年前はトルコが貧しいからEUの仲間入りはできないと言われた。しかし、今ではトルコが豊かになり、強くなり過ぎたからEUに入れないということだ。』と語っている。
そして、EUはトルコが加盟することで、経済的に大きな動揺を生み出すことを、恐れているからだとも語っている。
これに呼応するように、エルドアン大統領は『トルコがEUに対して、いまでも玄関で物乞いをすると思っているようだが、そんなことはない。EUはトルコを受け入れるべきであり、そうでなければ、キリスト教徒のクラブと揶揄されよう。』と語っている。
こうした強気の発言が、エルドアン大統領とダウトール首相の口をついて出るということは、トルコの経済が10年前に比べ、相当実力をつけたからであろう、それなしにはできない発言だからだ。
そしてトルコの経済の拡大に加え、ロシアのトルコ寄りの政策が、トルコをして元気づけているのであろう。それはロシアのガスが、ウクライナ経由ではなく、トルコ経由でヨーロッパに運ばれるようになる計画が、そこまで近づいているからだ。
ロシアのガスプロムの幹部アレクセイ・ミラー氏は、630億立方メートルのガスがウクライナ経由で、ヨーロッパに送られているが、このサウスストリームのパイプラインは無くなり、トルコ経由になると語っている。
ヨーロッパがいま受け取っているロシアのガスは、ヨーロッパの消費量全体の3分の1だが、そのうちの半分の量が現在、ウクライナを経由しているのだ。
ロシアのガスがトルコ経由になれば、EU諸国は常にトルコの圧力を感じなければならなくなるだろう。そのことを考慮してか、ガスプロムのアレクセイ・ミラー氏は『ヨーロッパはトルコに依頼して、ガスパイプラインを繋げさせてもらわなければならない。』と語ってもいる。
トルコの強気の姿勢に対して、気位の高いヨーロッパ諸国が、妥協するとは思えないが、実際の対応策を真剣に考えなければ、ならない時期が、近付いていることは確かだ。