『イスタンブール3か所で爆弾テロ』

2015年1月19日

 

   トルコ最大の都市イスタンブールは、世界の観光客の人気スポットだが、そこで爆弾テロ事件が起こった。以前にもテロ事件はあったのだが、今回は3か所がほぼ同時に、テロのターゲットとされた。

   第一に狙われたのは、ファティ地区であり、手製のクラスター爆弾が爆発した。幸いにして怪我人は出なかったようだが、危険であることに変わりはあるまい。

  第二に狙われたのは、アタチュルク像があるマルテペ地区だが、これは不発に終わったようだ。そして第三のターゲットとなったのは、スルタンガズイ地区だった。これも爆弾処理班によって処理され、不発に終わったようだ。

今回の爆弾テロは二つの組織によって、計画されたものだと発表されている。一つは、海岸線の観光地としての開発に抗議する、ジズレ地区の人たちによるものだ、といわれている。ここでは長い間、開発に反対する抗議行動が続いているが、12歳の少年がその抗議行動のなかで、警察の放った銃弾によって死亡しており、それに抗議するものだった、といわれている。

   もう一つのグループは、YDG-H(愛国的革命青年運動)という、PKK(クルド労働党)の姉妹組織によるものだった、ということのようだ。それは、このテロ組織であるYDG-Hの名前が、爆弾ケースに書かれてあったことから、明らかになったと報じられている。

   トルコでは67日には、地方選挙が予定されているが、その選挙に向けての、動きなのであろうか。エルドアン大統領は汚職閣僚問題を早く処理して、地方選挙の前に汚職事件を、トルコ国民に忘れさせる作戦を、立てているようだが、なかなかそうはいかないのではないか。このようなテロが頻発すれば、与党AKPにとっては選挙での、苦戦も免れまい。

   トルコはいま、国内外に幾つもの反対勢力と対峙している、ということであろう。国外からは、オランダの野党キリスト民主党が、エルドアン政権がシリアのテロリスト組織に、武器を供与していた証拠がある、と発言している。

   それは、トルコのMIT(情報機関)が秘密裏に、シリアのアルカ―イダに対し、トラック3台の武器弾薬を送った、という問題だ。しかも、このことはエルドアン大統領の、命令に沿ったものだった、ということだ。

   西側諸国がシリアやイラクのテロリスト組織に対する、空爆作戦を展開しているなかで、NATOの一員であるトルコが、これらテロリストに武器弾薬を送るということは、今後、非難されて当然、ということになろう。