『勇敢な検察官1・17は終わっていない』

2015年1月25日

 

 トルコの与党AKPの閣僚を始めとする政治家や、ビジネスマンを震撼させた汚職事件は、20131217日に法的追及を、政府によって阻止された。以来、トルコ社会ではこの汚職問題がくすぶり続けている。

 この汚職問題は4人の閣僚と彼らの子息たち、加えてエルドアン首相(当時は首相、現在大統領)と彼の子息が、容疑者として挙げられていた。容疑者は当時53人にも及んでいた。

 その後、このうちの30人が逮捕され、留置された。通常であればこの後は裁判が始まるのだが、エルドアン首相の強引な介入があり、逮捕者は全員が裁判を受けえることも無く、釈放になっている。

 政府側はこの容疑者が挙げられたことで、電話の盗聴があったとして非難し1たことに加え、トルコには同国を動かし、牛耳っている影の政府が存在すると非難した。政府はエルドアン首相を始めとして、パラレル・ガバメント(二つの政府)が存在すると言い出し、それは宗教慈善団体ヒズメトであり、その組織のリーダーは、ギュレン氏であるとしたのだった。

 この政府の要人を含む汚職事件の捜査に当たった、警察官と検察官は不十分な説明も無く、数万人が担当地域から他の地域に、任地を変られたり、職場から追放されている。

 今年に入りその状況に、少しばかり変化が見え始めている。汚職に絡んで辞任した閣僚4人について、最高裁が査問にかけようとしたことを、与党は阻止しに動いたのだ。与党議員が議会の相当数を占めていることから、この査問案は取りやめられ、実施されなかった。

 このことをめぐり、議会では賛否を問う投票が行われたが、与党議員の48人が実施すべきだという方に投票したのだ。それは汚職問題が横たわっているままでは、つぎの選挙に勝利できない、という焦燥感を抱く、議員たちによるものだった。

 エルドアン大統領は48人もの票が、裁判実施に投じられたことに激怒したろう。議会で投票が行われた後、犯人探しが始まっている。

 こうした政治的変化のなかで、勇敢な検察官が12.17の調書は閉じることが出来ない、と主張したのだ。つまり真正面から政府に対抗する、意思を表明したのだ。

 彼の名はジェラ―ル・カラだ。彼は以前に実施された法律最高会議の、議員に立候補しようとしたが、政府によって阻止されている。彼の動きの裏には、しかるべき組織が存在するのではないか。それが動き出したということか。