『バルグーテイ刑務所からアッバース非難』

2014年12月25日

 

  ヨルダン川西岸地区のPLO 幹部で、元デモ煽動の罪で、イスラエル刑務所に収監されている、マルワーン・バルグーテイ氏がマハムード・アッバースPA議長の方針を、激しく非難した。マハムード・アッバースPA議長は国連安保理で、国家承認を取り付けようとし、あらゆる基本的な問題を、あいまいにした内容の、提案書を出すつもりだからだ。

 マルワーン・バルグーテイ氏は国連安保理に提出される、PAの国家承認ドラフトには、基本的なことが盛られていない、それは欠かすことにできない重要な問題だ、と非難している。たとえば、イスラエルとパレスチナとの国境線は、1967年戦争以前なのかそうでないのかという、パレスチナ国家設立にかかわる、肝心な部分についての言及がないのだ。

  明確には、東エルサレムをパレスチナ国家の独自の首都として、主張していない。もちろん、そればかりではなく、パレスチナ難民の帰還についても、明言されていないと非難しているし、現在イスラエル刑務所に収監されている、パレスチナ人についても、何等具体的な解決策が、盛り込まれていないということだ。

 同様に、ガザについても何等の言及も、なされていない。当然、イスラエルのガザ攻撃に対する非難があり、補償問題が書き込まれているべきだということだ。また、入植地を残存することを認めた形の、土地の交換について、マハムード・アッバースPA議長が語っていることも、許されるべきことではない。それは将来のイスラエルとパレスチナとの、国境線をゆがめることになるからだ、というのだ。

 しかも、マハムード・アッバースPA議長は、国連安保理に提出する、パレスチナ側の提案書の内容について、PA幹部やファタハ幹部に対しても、詳細を明かしていないし、説明も行わず、承認も得ていないということだ。

 マハムード・アッバース議長がこうした手法をとるのは、多分に彼が、一日も早く国連安保理に、国家設立案を提出することで、ICCへのイスラエルの犯罪提訴を、あきらめたことをごまかすためだというのだ。

 マルワーン・バルグーテイ氏だけではない。DFPLのタイシール・ハーリド議長、PFLPの幹部も同様の非難、をマハムード・アッバースPA 議長に対して、浴びせかけている。マハムード・アッバースPA議長は、何時の間にかパレスチナの独裁者にでも、なった気分でいるのだろうか。

  中東諸国では民族主義の風潮が、盛んになってきていることと、それに合わせて、独裁者になろうとする者が、増えてきているようだ。マハムード・アッバース議長はその波に、乗ろうというのだろうか。