人の悪口を言ったり書いたりすることは、あまりほめたことではないが、最近のエルドアン大統領の発言を読んでいると、彼が手品師(ネタ替え)か、あるいは忍者(目つぶし)になったのではないかと思うことがある。
手品師や忍者になったのではないかと思うのは、エルドアン大統領が次から次とマスコミの耳目を引く、発言を繰り返しているからだ。すでにご紹介したが『アメリカ大陸はムスリムが発見したのであってコロンブスではない。』という発言を皮切りに、『男女は同じではない。』という男女同権を否定する時代錯誤と思われる発言があった。
続いて大統領公邸の膨大な建設予算を非難されて『AKサライの悪口を言うなら壊してみろ、どんなに騒いでもそれはできまい。俺はそこに居座る。』と言ってのけた。この発言はまさに独裁者そのものではないか
また、大衆受けを狙ったのであろうか。『欧米人はムスリムが嫌いだ。好きなのは石油だけだ。』とも語っている。それはその通りであろうが、大統領が口にするには、あまりにも礼儀を知ら無すぎる発言であろう。
トルコ人でノーベル賞を受賞したものがいないからであろうか『ノーベル賞はキリスト教徒だけでとっている。』とノーベル賞委員会に対する批判も行っている。しかし、ノーベル賞は日本人もとっているのだ。あるいは彼はオバマ大統領のように、ノーベル賞を受賞したいのかもしれない。
自分の現在の立場について、そして彼が行おうとしていることについては『私は普通の大統領にはならない。』と語っているが、これまでのシンボルとしての大統領ではなく、エルドアン大統領は独裁的なまでも、権限を持った大統領になる、という意思表示であろう。
そして、つい最近になってエルドアン大統領は、高校からのオスマン語の教育を、義務付ける方針を語っている。『オスマン帝国の言語を義務教育科目にしろ。』と言ったのだ。このことはクルド人から反発を受けているし、教育関係者からも反発が出ている。一番大変なのはそれを学ばされる学生たちだ。オスマン語はアラビア文字を使うのだから。
こうしたエルドアン大統領の時代錯誤とも言える発言に刺激されてか、トルコの学者はそれに負けじと『地球が球体だということを発見したのはムスリムだ。』と発言している。これらのうちの一部は事実であり、一部はエルドアン大統領の奇想天外な考えが、生み出したものであろう。
問題はこのような発言を、何故エルドアン大統領がするのかということだ。多分にその理由は、汚職が話題にならないように、マスコミ向けに発言しているのではないのか。大統領が発する奇異な発言は、一面トップを飾るのは確実なのだから。