すでに、トルコ国内では大きな変化の波が、起こっていることをお伝えした。一度は収まりかけた汚職問題が、ここにきて再燃しているのだ。その動きに法曹界や検察、そして警察も動き出しているし、野党も動き出している。
その動きが起こってきた原因は、トルコ経済が最近、芳しくなくなってきていることによろう。庶民の不満がついに頂点に、達しかけているのかもしれない。その経済の悪化とは裏腹に、エルドアン大統領は大公邸を建設し、膨大な国家予算を浪費している。
公邸には1150室がある、とエルドアン大統領は豪語し、マスコミの1000室非難を、嘲笑している。野党はこの馬鹿げた大公邸の建設に、どれだけの資金が投入されているのかということを、ダウトール首相に問い質したが、ダウトール首相は答えていない。
トルコの経済はどうやら、2014年にピークを過ぎたようだ。失業率は15パーセントまで上昇している。その反面与党AKPと関係ある人たちの、不正な雇用が問題になっている。
本来であれば、公務員の雇用試験を受け、合格しなければならないのだが、今は縁故で臨時雇用され、後に正規の雇用に切り替えられる、ということのようだ。こうしたことから政府による雇用者の数は340万人にも膨れ上り、それはこれまでと比べると、3・7パーセント増加ということだ。
トルコの通過リラは最近の比較では、大幅に落ちてはいないが(年初は1・98トルコ・リラ程度)、かつてのデノミ時に比べると、大きくその価値を下げている。デノミが行われた当時は1・65トルコ・リラだったものが今では2・4トルコ・リラに近いのだ。
トルコもエネルギーは、ほとんどが外国依存であることから、トルコ・リラの下落は、直接的に貿易バランスに影響を及ぼしてくる。実質トルコの経済は悪化の一途を、辿っているということだ。
エネルギー問題以外には、トルコの対IS(ISIL)対応も、欧米の顰蹙を買っているようだ。欧米が期待するトルコ軍の、IS対応が始まらないからだ。そして、トルコのインジルリク空軍基地の使用を、アメリカは求めているのだが、トルコ側はいまだに許可していないことも、大きな問題であろう。
そして、エルドアン大統領の傲慢な手法も、欧米の顰蹙を買っている。法を無視し、自分のやりたいように法を破り、あるいは変更する手法は、欧米を不安にさせている。
こうしたことから、トルコへの投資は、次第に減少する傾向にある。同国は外国からの借り入れと、投資の資金が直接的に経済に、影響を及ぼすのだ。ヨーロッパの経済の落ち込みは、同地域へのトルコの輸出も、減少させている。