シリアとイラクで猛威を振るっている、IS(ISIL)との戦いが長期化するだろう、というのがほとんどの人たちの予測だ。たとえば、アメリカのペンタゴンのパネッタ将軍は、IS(ISIL)との戦いが長期化し、30年にも及ぶだろうと予測している。
また、シリアのアサド大統領もIS(ISIL)との戦いは、困難であり長期化する、という見通しを語っている。彼の発言はフランスのパリ・マッチ誌との、インタビューで明らかになったものだ。
アサド大統領はIS(ISIL)との戦いは、二国間の軍によるものではないことを指摘し、シリア軍は善戦しているが、神出鬼没のIS(ISIL)を打ち負かすことは、容易ではないと語った。確かにそうであろう。シリアは軍として行動し、IS(ISIL)側はテロリストの小規模グループによる、攻撃になっていよう。それは、モグラ叩きのようなものであることから、完全に撲滅するのには、時間がかかるということだ。
しかし、アサド大統領は最終的には、シリア軍が勝利すると語っているし、そうであると思われる。ただそれには、床に撒いた米粒を拾うように、手間がかかるということだ。このIS(ISIL)との戦闘を終わらせるには、IS(ISIL)を兵糧攻めにすることではないのか。
IS(ISIL)は所詮世界中からかき集めた、メンバーによって構成されており、メンバーは統一した方向性を持っているわけではない。そうだとすると、給与が支払われなかったり、食料が十分に支給されない状態になれば、分裂に向かうだろう。
一説によれば、シリア政府がIS(ISIL)から、石油を買っているということだが、それが事実ならば、そんなことは今すぐでも止めるべきであろう。敵に塩を送るような利敵行為だからだ。
IS(ISIL)のシリアとイラクにおける寿命は、案外短いのではないか、と私は考えている。それは、最近なってどうもIS(ISIL)は、資金難に陥り始めているのではないか、ということだ。戦闘面でもシリアやイラク軍が、攻勢になっており,優位な戦闘になっている。
そうなれば戦闘員の士気は落ちることになるし、ずるい幹部は金をごまかして逃亡することを考えよう。実際にIS(ISIL)幹部の汚職が問題になり、処刑されたり投獄される者が出た、という情報がある。加えて戦線離脱で逮捕され、投獄された戦闘員がいる、とも伝えられている。
そもそも、私に言わせればIS(ISIL)の、シリアとイラクにおける役割は、既に終わっている。イラクのマリキ―首相を辞職させ、シリアの北部は実質的に、シリア国土から切り離された状態になりつつある。
そう考えるとIS(ISIL)はほかの国に、転戦していくのではないのか。たとえばリビアなどがそうだが、そのリビアでの、そして、その次の国での戦闘をと加えて考えれば、IS(ISIL)との戦いは長期化するかもしれないが。