『おめでとうございますエルドアン大統領閣下』

2014年11月30日

 

 トルコは遂に、戦争当事国になったようだ。複数の情報ソースは、IS(ISIL)がシトルコの領土内から、シリアのコバネに対し特攻攻撃と、砲撃、銃器による攻撃を、始めたと伝えている。

 こうなると、トルコは厳しい状況に置かれるということだ。もちろん、トルコ政府はこの情報を否定しており、トルコのシリアとの国境の街シャンヌ・ル・ウルファの市長は、全面的にこのことを否定している。しかし、事実は他の国の報じたとおりだと思われる。

つまり、IS(ISIL)はいま厳しい状況にあり、イラクやシリアの各戦線で、後退を余儀なくされている。そこで、なんとしてもトルコに通じるコバネを、奪取したいということであろう。そのコバネではクルド側とIS(ISIL)側との間で、こう着状態が2ヶ月も続いており、次第にクルド側が優位に立っているようだ。

今回のIS(ISIL)のトルコ領土内からの攻撃が、事実であるとすれば、当然のことながら、トルコ政府が自国領土からのIS(ISIL)の、コバネへの攻撃を認めたということであり、実質的にトルコは戦争当事国になった、ということではないのか。

人は国家元首に就任すると、一度は戦争をやってみたくなるものだそうだ。多くの軍人が戦地に向かうとき、その前で敬礼をするのは華々しいことなのかもしれない。そして、馬鹿げたことなのだが、自分にはこの若者たちの命を、取り仕切ることが出来る、と思うのであろう。

エルドアン大統領はいま、戦争という強い酒を、あおっているのであろうか。そして大英雄にでもなったような気分に、浸っているのではないのか。彼はトルコ共和国の生みの親である、トルコの初代の大統領であり、英雄であるケマル・アタチュルクに対して、強烈な劣等感と対抗意識を持っているようだ。

だからこそ、今回建設された大統領公邸は、ケマル・アタチュルクを記念する敷地を、使ったのではないのか。新しい大統領公邸には、巨大なケマル・アタチュルクの写真が印刷された幕が、掛けられてあるが、エルドアン大統領はそれを取り払い、自分の肖像画を掲げたいのではないのか。

ケマル・アタチュルクは戦争を指揮したが、今のエルドアン大統領に無いのは、戦争を指揮する経験だけであろう。それさえ実行できれば、そしてその戦争で勝利出来れば、彼は新しいトルコの英雄として君臨することが出来よう。

エルドアン大統領閣下、おめでとうございます。これで貴殿は確実にケマル・アタチュルクを、凌駕できるのですから。