『エルドアン大統領お気を確かに』

2014年11月27日

 

 8月にトルコ共和国の大統領委に就任して以来、あるいはそれ以前から、エルドアン大統領の口を突いて出る言葉に、何がしかの異常を感じてきている。彼は特異な才能を持っていると言ってしまえばそれだけのことであろうが、最近の発言には彼自身、あるいはトルコを危うくしそうなものもある。

 許せる範囲のものでは『アメリカ大陸を発見したのはムスリムであって、コロンブスではない。ムスリムはすでに11278年にアメリカ大陸に到達していた。』というのがあった。加えて、彼はキューバの丘の上にはモスクがあったので、キューバ政府が許可してくれれば、そこにモスクを再建したいとも語っている。

 このアメリカ大陸発見を巡っては、エルドアン首相がアメリカ大陸は、ムスリムのものであって、ヨーロッパのキリスト教徒のものではない、と言い出すのではないか、と一部の人たちは不安を抱いていた。

 エルドアン大統領が語るように、コロンブスをアメリカ大陸まで案内したのは、ムスリムでありレバノン人だったといわれているので、彼の発言はまんざら嘘ではない。そして、オスマン帝国は海軍を有しており、その海軍に必要な天球儀や計測器など航海に必要な機器を、多数発明していたことも事実だ。

 続いて『男女は同じではない。』という発言があった。最近ではジェンダー・フリーなる言葉がはやっているなかで、時代に逆行する発言ということで、トルコの女性団体などは非難している。

 そして、つい最近発した言葉には『アメリカはシリア問題で無礼千万だ。』というものがあった。確かにアメリカはシリア政府との合意なく、シリア領土内への突然空爆を始めている。その際、エルドアン大統領にとって不愉快だったのは、中東の覇者を自認する彼に、何の相談もなかったことであろう。

 そもそもエルドアン大統領は、中東地域の問題はアメリカなどが、でしゃばってくるべきではない。地域各国間の話し合いで、解決出来ることだとも語った。彼曰く『12000キロも離れたところからここに来て、勝手なふるまいをしている。これは無礼な行為そのものだ。地域の人たちの相互支援で、問題を解決することができるというのだ。

 その言わんとするところは、アメリカ非難なのだが、この発言がジョー・バイデン副大統領のトルコ訪問後であっただけに、含むところは大きいだろう。アメリカはトルコに対し、シリアに対して陸軍を派兵しろ、インジルリク空軍基地の使用を認めろ、とも圧力をかけた。しかし、エルドアン大統領はそのいずれにも応じなかった。

 世界一大きな大統領公邸を建てて、そこの城主に納まったエルドアン大統領には、ジョー・バイデン副大統領の高圧的な発言が、腹に据えかねたのであろうか。これでエルドアン大統領とアメリカとの関係は、ますます悪化していくだろう。