『イスラエル・パレスチナ関係が緊張』

2014年11月18日

 

 最近になって、イスラエルとパレスチナの関係が、以前に比べ緊張の度を、増したように感じている。イスラエル側もパレスチナ側も、今までにはなかったような行動に、出ているのだ。

 たとえば、トラックでパレスチナ人が突っ込み、死傷者を出すというテロは、単独犯であり組織的なものではない、とイスラエル側は判断した。そのことは類似するテロを、防ぎようがないということだ。ある日突然パレスチナ人が、テロを思い立ってやるわけであり、背後にテロを指揮する、組織は存在しないのだ。

 そうかと思えば、パレスチナ人ドラーバーを捕まえて、イスラエル人が首を絞めて殺す、ということも起こっている。パレスチナ人の子供が生きたまま焼き殺される、という事件も起きている。

 イスラエル最大の都市であるテルアビブでは、レストランに爆弾が投げ込まれ、負傷者が出るということも起こっているし、同じ時期にはヨルダン川西岸地区で、夜間にイスラエル軍が16人のパレスチナ人を逮捕してもいる。

 こうしたイスラエルとパレスチナ側との緊張状態は、パレスチナ側に怒りと不満を募らせているために、しばらく前から、第三インテファーダが始まる、という噂が流れていた。そこまででパレスチナ人の怒りは、鬱積してきているのであろう。

ガザ戦争後に、ハマースのイスマイル・ハニヤ氏は、武力闘争を呼びかけているし、獄中にあるファタフハの幹部、マルワーン・バルグーテイ氏も同様に、武力闘争を呼びかけている。

 例外的に穏健な発言を繰り返しているのは、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長だが、彼に対するパレスチナ人の支持は大幅に落ち込み、10パーセント台にまで下がっているのだ。このため、『マハムード・アッバース議長は選挙に踏み切れないのだ。』とイスマイル・ハニヤ氏は揶揄している。

 先日、イスラエル政府が断行したアクサ・モスクへの立ち入り禁止は、間もなく解除されたが、それはパレスチナ人の暴発を恐れてではなかったかと思われる。ネタニヤフ首相にしてみれば、パレスチナ人の自由を認めていれば、国民から反発を受けることになろうし、かといって厳しすぎれば、パレスチナ側からの反発が強まるという、板挟みの状態にあるのではないか。

 イスラエル経済は今年後退しているが、そのことはパレスチナ側にも、少なからぬ影響を与えよう。国連の主導するガザ復興支援では、50億ドルとも60億ドルともいわれる、援助額が決まったが、実際にそれを履行する国は、どれだけあるのであろうか。

 湾岸産油諸国も石油価格が下がり、決して台所事情が豊かなわけではないのだ。欧米もしかりであろう。日本だけが生真面目に援助を、期日通りに履行するのではないのか。