『サウジアラビアが預言者ムハンマドの生家を破壊』

2014年11月14日

 

 まだごく一部でしか、報道されていないのだと思うが、サウジアラビア政府はメッカにある、イスラム教の預言者ムハンマドの生家を、破壊することを決定したようだ。

 その理由は、アブドッラー国王の宮殿を建てるためだというのだから、世界中のムスリムから反発が起こる、可能性があるのではないか。アブドッラー国王の新しい宮殿は、相当な規模のようで、その計画に預言者ムハンマドの生家の土地が、重なっていたのであろう。

 この預言者ムハンマドの生家とは、彼が生まれた西暦570年頃にはあったのであろうから、既に1500年以上の歳月が過ぎていることになる。現状がどうなっているのか分からないが、惜しい気がするのだが。

 イギリスにある、イスラム歴史遺産調査財団のイルファン・アラウイ氏は、預言者ムハンマドの生家は破壊され、完全に忘れ去られようとしている。そしてその場所は、コンクリートと大理石で、覆われてしまおう。と語っている。

 これまでもサウジアラビア政府は、厳格なワハビー派であることから、預言者ムハンマドにまつわる、多くの史跡や品々を破壊してきていた。今回は遂にメッカの預言者ムハンマドの生家を、破壊するということのようだ。

 オスマン帝国がメッカを管理していた時代に、予言者ムハンマドにまつわる品々などが持ち出され、その一部がイスタンブールのトプカプ宮殿に、陳列されているが、もし、オスマン帝国が持ち出していなかったら、その陳列物のほとんどが破壊され、砂にうずもれ失われていたものと思われる。

 今回の預言者ムハンマドの生家の破壊は、ワハビー派の原則からではなく、あくまでもアブドッラー国王の宮殿を、建てるためであろうから、批判は相当出てくるのではないのか?それがあまり聞こえてこないとすれば、あくまでもサウジアラビアの金と石油に、世界のムスリムたちの腰が引けてであろう。

 メッカのカーバ神殿の周りの光景が、アメリカのゲーム・マシンと似通った光景になっていることに気がついて、がっかりしたことがあるし、メジナの預言者モスクも、大理石を張り詰めた豪華なものではあるが、何処か荘厳さを感じさせないものになっている。

 大きさと豪華さだけで聖地を改造していったり、ワハビー派の原理原則だけで物事を進めては、多分に世界のムスリムの反発を買おう。そのようなサウジアラビア政府の決定は、結果的に他の原理主義を、覚醒させることになる、危険性があるのではないのか。