先週末に起こったアメリカ軍による空爆で、IS(ISIL)の100台ほど連なる車列が、被害を受けた。その際に何人かの幹部が死亡したといわれているが、その中にアブーバクル・バグダーディも、含まれていたのではないかという情報が広がった。
イラク政府はアブーバクル・バグダーディが、負傷したことは確実だとしているが、死亡については確認できていないようだ。それはアメリカの情報機関でも、死亡の確認ができていないし、彼がその車列の車に乗っていたのかも、確認ができていないようだ。
しかし、死亡している確率が高いのであろうか。すでにアラブ各紙はアブ-バクル・バグダーディの死亡を前提とした記事を書き始めている。誰が彼の後継となってIS(ISIL)をリードしていくのか、ということが最大の関心事のようだ。
そこで登場してくるのは、個人名や組織名で次のようなものが挙げられている。
:アブ―・ムスリム・トルコマーニ―=アブーバクル・バグダーディの次席で、イラクの総責任者
:オマル・シェイシャーニ=軍事最高責任者
:アブ―・ムハンマド・アドナーニー=公式スポークスマンでアブーバクル・バグダーディの演説を伝えている
:諮問委員会=アブーバクル・バグダーディに助言諮問の役割担当
:各委員会=治安、資金、広報、
:地域委員会=イラク―ニノイ、デヤーリ、バグダッド、キルクーク
シリア=デールズール,ハサカ、アレッポ、
もし、アブーバクル・バグダーディが死亡しているか、重傷で物事の判断ができない場合には、当然のこととして、後継のリーダーが出てくるのであろうが、常識的には当分の間は、集団で決定を下す形になるのではないかと思われる。その場合は諮問委員会の存在が大きな意味を成すのではないか。
もちろんこうした組織であり、現在が緊迫した状態にあることから、早急に後継のリーダーが選出され、指揮がとられる可能性もあろう。その場合にはアブーバクル・バグダーディの次席であったアブ―・ムスリム・トルコマーニが妥当なのであろう。ただし、軍権はオマル・シェイシャーニにあり余談を許さない状況であろう。
オマル・シェイシャーニは確か若年であったと思われるが、年齢が後継者決定に影響を与えるだろうか。そしてアブ―・ムスリム・トルコマーニは名前が示す通り、トルコ系であることから、今後のIS(ISIL)とトルコ政府との関係を調整するうえでは、彼の方がふさわしいのかもしれない。
いずれにしろ現段階ではアブーバクル・バグダーディの死亡は確認されていないし、重症か否かも確認されていない。次のIS(ISIL)のリーダー候補は、まだ先の話かもしれない。