トルコのマスコミは、今度新たに出来たエルドアン大統領の公邸について、ギネス・ブックに載る規模だと評している。4200平方メートルの土地に建てられた公邸は、そもそもダウトール首相用のものであったが、エルドアン大統領が途中で、自分の公邸にすると言い出したものだ。
そのこともあって、当初考えていたよりも規模が大きくなり、内装も豪華なものになったことが推測される。そのためであろうか。工事費は6億1500万ドルかかったということだ。それでもまだ足りず、2015年にかかる費用はこの金額に加えて、2億ドル強かかることが見積もられている。
この公邸には1000室が設けられ、いくつかのビルによって構成されている。我々が考えると電気代だけでも大変であろう。また地下にも各施設や部屋があり、迷路のようになっていること、迷路のような通路と治安システムが、完備されているということだ。
さすがに呆れたのであろうか、あるいは怒りからか、財務大臣のシムシェク氏がこの公邸建設の費用総額を公表した。そのことにエルドアン大統領は激怒したようだ。彼はあくまでも大統領公邸が豪華なのは、国家の威信を高めるためものだと言っていたが、莫大な費用が掛かっていることを、国民に知らせたのでは、反発が起こると思ったのであろう。
しかし、この馬鹿げた大公邸に腹を立てていたのは、シムシェク財相だけではなかった。アルンチ副首相も、これだけの金額を要したのだから、国民に対してそれを明らかにするのは、当然の義務だと語り、シムシェク蔵相を擁護している。
しかも彼は巨額であることから、十分に討議をする必要があるとも語った。アルンチ副首相はAKP 設立当初からの党の幹部であり、これまでも歯に衣着せぬ、エルドアン批判を行ってきていた 。
これまで公邸の巨大さが批判されたとき、エルドアン大統領は『公邸非難をする連中に力があるなら破壊してみるがいい。彼らには何もできまい。俺は力づくでも完成させてみせるし、そのなかに陣取って見せる。』とうそぶいていた。
しかし、そんなバカげた計画を実行していることもあり、トルコは対外債務が拡大し、外国からのトルコ投資は逃げ出している。下げに下げ続けるトルコ・リラは、結果的にエネルギーの輸入で、大きく経済を悪化させることであろう。
大統領の公邸の開館式には、MHPやCHPといった主な野党が欠席している。本来は自分の写真を飾りたかったのであろうが、さすがに腰が引けたのか、大型のケマル・アタチュルクの写真が張り出された。
エルドアン大統領は心の中で、ケマルをまた追い越すことが出来なかった、と悔しさ一杯でいるのではないのか。