パレスチナのガザ地区で、二つの危険な兆候が見え始めている。一つはハマースの軍事部門である、イッザッデーン・カッサームがイスラエルに対する、戦闘部隊を新たに結成したという情報だ。
これは人民軍と命名され、2500人が参加している。その起こりは、エルサレムのアクサ・モスクに対する、イスラエル側の強引な閉鎖措置や、東エルサレムでの入植地の拡大に起因している。
ガザの多くの住民は、このイスラエルの動きを、完全にパレスチナを無視した行為であり、和平への道は閉ざされた、と判断したようだ。これまで人民軍は、若者を中心に結成されていたようだが、今回のものは、成人を相手にしている。
そして、彼らが攻撃を予定しているのは、イスラエル兵であり、エルサレムやヨルダン川西岸地区の、イスラエル人入植者となっている。今後はこれまでよりも活発に、パレスチナ人によるイスラエル人に対するテロが、行われるということであろう。
もう一つの情報は。ガザ地地区にあるファタハの幹部の住宅や、事務所がたて続けに、爆弾テロの対象になったことだ。家屋だけではなく、ファタハの幹部の車も、爆弾で破壊されている。
この爆弾テロに先駆け、IS(ISIL)からの手紙というものが出ており、それには11月15日まで事務所や事務所に留まるな、という警告の内容になっている。この手紙が実際にIS(ISIL)のメンバーによって送られ、爆弾テロが彼らによって実行されたのであれば、ガザも既にIS(ISIL)の攻撃の対象になっている、ということであろう。(アラファト議長の10周年記念行事が予定されていた)
事実、ガザ地区やヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の間にも、IS(ISIL)を支持する若者たちがいることは、否定できない。彼らがやったのであれば、納得がいくというものだ。
他方、ハマースはこの爆弾テロを非難しており、ハマースのメンバーによるものでは無いとしている。あるいはそれが正しいのではないか。さすがにファタハも、この爆弾テロについては、ハマースに治安責任はあるとするものの、ハマースのメンバーがやった、とは語っていない。