エジプトの外貨収入は、主にスエズ運河の通過料収入、シナイ半島のガス生産、観光収入、そして外国に出稼ぎに出ている、エジプト国民の送金となっている。しかし、国内の治安状況が未だに改善し切れていないために、現状では観光収入が大幅に落ち込んでいる。
こうしたエジプトの台所事情を考え、いまエジプトのシーシ大統領が宣言した、第二スエズ運河の建設が進んでいる。これは現在ある第一スエズ運河に加え、一部を二つの運河にするという工事だ。それは運河の一部は、船が2艘十分に通過できるだけの幅があるのだが、他の一部はそれが不可能だからだ。
このため運河の入り口で、多く船が待船さられているのだ。この問題を解決するには運河を拡幅するか、あるいは運河を二本にするしかなかった。そこでシーシ大統領は第二のスエズ運河建設を、思い立ったのだ。
既存の運河の岸を掘削して、船が通過できる幅を広げることと、一部、第二スエズ運河を建設することで、スエズ運河の通過船舶の数は、3倍から5倍に増えることになる。そのことは運河の船舶の通過料が、現在の3倍から5倍に、増えるということを、意味している。
この大工事の予算は、40億ドルと見積もられており(予算の半分程度はエジプト国民に売却した、金利12%のスエズ運河債でまかなわれている。)、新設の運河は72キロの長さだ。第二スエズ運河の基礎的な掘削作業は、ほぼ半分が終わった、とエジプト政府は発表した。
この工事にはエジプトの80社が参加し、工事に当たる技術者や作業員の数は、20000人、そして工事に使用される、掘削機械の数は4600台だ。
エジプトの企業以外にも、外国企業18社が参加しているが、それらはアラブ首長国連邦の国営海洋掘削社、ロイヤル・ボスカリス・ウエスト・ミンスター社、ヴァン・オルド社、ジャン・デ・ヌル社、デメ・グループ社、アメリカのグレート・レーク掘削社などだ。
この第二スエズ運河建設工事は、エジプト軍が統括している。果たしてシーシ大統領が、1年で完成させると宣言したように、この運河の工事は順調に進み、来年の半ばには完成するのだろうか。そうなれば、エジプトの経済状況は、大幅に改善されることが、期待出来よう。