『エルドアン大統領発言は暴言か名言か』

2014年11月 1日

 

 トルコのエルドアン大統領は、アジテーターとしての能力は相当高いようで、それがトルコ国民の支持を得ている、大きな要素だといわれている。それだけに、彼の発言には名言もあれば暴言もある。

 今回の発言はフランスのパリにある、フランス外交関係研究所で語ったもののようだが、彼はIS(ISIL)を打倒するには、IS(ISIL)と同じような悪魔の組織を、結成しなければならないというのだ。彼はそれをダーイシュと呼んでいるが、それはISISIL)のアラビア語名とは違うものだ。

 エルドアン大統領の言わんとするところは、『悪魔には悪魔で対抗しなければならない。』ということであろう。彼に言わせると、宗教は寛容を説いており、テロには寛容では対応できないということだ。

同様の発言をフランスのファビウス外相もしているが、エルドアン大統領はダーイシュという言葉の使い方が、間違っていると指摘している。イスラム国家やイスラム原理主義という呼び方は間違いであり、IS(ISIL)のような組織は過激派と呼ぶべきだというのだ。

エルドアン大統領はこのことに加え、アメリカ軍による空爆は、結果的に成功しない、とも語っている。コバネの戦いはあたかも、国際紛争の形を呈するように、なっているというのだ。

エルドアン大統領は『コバネにはダイヤでもあるのか、石油があるか、あるいは金でもあるというのか。欧米諸国は何故そんなに、コバネにこだわるのか。コバネの何が戦略的重要性なのか。』と疑問を呈している。

シリアのハマ市やホムス市が攻撃を受けているとき、欧米諸国は何の反応も関心も示さなかった。西側諸国はシリアの問題を、本気で解決する意思があるのか、とも疑問を投げかけている。

しかし、このエルドアン大統領の発言は、彼の本心ではない。エルドアン大統領はコバネの重要性を、十分に分かっているのだが、それを語らないだけだ。コバネの重要性は次回に指摘することにしよう。