ドイツ550スエーデン300という数字は、何を表しているのであろうか。ほとんどの日本人は、答えられないだろう。それもそのはずだ、この数字は日本人がほとんど興味を持たなくなった、シリアとイラクで暴れまわっている、IS(ISIL)の戦闘に参加している、ドイツ人とスエーデン人の数なのだ。
述べるまでもなく、彼らは自分の意思で、シリアやイラクに出かけ、IS(ISIL)が展開する殺人作戦に、参加しているのだ。彼らのなかの一部は、イスラム教徒であろうが、イスラム教徒以外の人物も、参加しているものと思われる。
そのいずれであるにしろ、いまシリアとイラクで展開している戦闘は、殺人以外の何物でもなかろう。いわゆる文化人と称する人たちが、IS(ISIL)の戦いはヨーロッパ人が引いた、国境に対する挑戦であり、アメリカの中東支配への、反逆だなどと言っているが、それほどの深い意味は無かろう。
それでは彼らは 何のために参加しているのか ということになるが、最近ヨーロッパからの参戦者のなかから、離脱者が出ているという情報がある。もちろん、彼らは逮捕され処刑されるか、投獄されているのだ。
その理由も、聖戦という美名とは全く違うという、現実を直視した結果なのか、あるいは金銭的報酬が途絶えたか、減額されたことに対する、反発なのかもしれない。
命と交換にしては安いが、ヨーロッパ人が参戦すれば、月額2600ドル程度の報酬を得られる、という情報が流れた時期があったが、今ではそうも行かなくなったのであろう。
これまでシリアとイラクの油田や、製油所を支配していたIS(ISIL)には、月額で1億円から2億円の金が入ってきている、といわれていた。しかし、イラクではイラク軍が製油所油田を奪還しており、この分野からの収入は、大幅に減っているものと思われる。
問題はIS(ISIL)の収入が減ったことにあるのではなく、ヨーロッパから来た戦闘員たちが、多数に上っているため、彼らが帰国した後に、何がヨーロッパで起こるかということだ。
彼らは武器の使い方を習い、武器の作り方を教わり、殺人技術を学んでいるのだ。既にIS(ISIL)は帰国戦闘員たちに対して、ヨーロッパで破壊活動を展開するよう、指示を出している。
ヨーロッパ諸国の経済状態は、決していいとはいえない。そのことから生まれる、失業や所得格差、政治的不平等といった要素は、彼ら帰国戦闘員をして、自国内での破壊活動を、起こさせるのではないか。