『イラクのペシュメルガコバネ到着遅延』

2014年10月28日

 

 トルコのエルドアン大統領が、アメリカの圧力を受けて、遂にイラク・クルドのペシュメルガ軍の、コバネ進出を許可した。ペシュメルガ軍はコバネでクルド人戦闘員を訓練し、IS(ISIL)に対抗できる軍事力に、育てようという考えだった。

 ペシュメルガ軍はしかるべき軍事装備を携帯して、コバネへの進出を実現すべく、トルコ領内に入った。彼らはパスポートを所持しなくても、兵士のIDカードを所有していれば、通過できるという合意が、トルコ政府とイラク・クルド自治政府との間で、できていたものであった。しかし、コバネ進出は日曜日の予定になっていたにもかかわらず、現在なお実現していない。

 これはペシュメルガ軍が装備している武器が、重火器も含まれていることから、エルドアン大統領が将来を懸念しての、ことなのかもしれない。すでに報告したように、エルドアン大統領はコバネのクルド人たちの組織PYDは、トルコのPKK(クルド労働党)と変わらないテロ組織だとみなしている。

 そのテロ組織に対し、イラク・クルドのペシュメルガ軍が、重火器を手渡すことは、危険極まりないということであろう。だが西側諸国はPYDをテロ組織とは認めていないし、コバネで大量の犠牲者が出ることを懸念している。

 エルドアン大統領の懸念はわからないではないが、結局はアメリカを始めとした、NATO諸国の圧力の前に、ペシュメルガ軍のコバネ入りを、認めることになろう。現在の遅延はエルドアン大統領による、単なるいやがらせではないか。

 最近のトルコの微妙は変化を見ていると、エルドアン大統領がアメリカの圧力の前に、抵抗できなくなりつつあるのではないか。それがトルコ国内でトルコ国民に、どう受け止められ、トルコでどのような新たな政治的潮流を、生み出していくのか興味深いところだ。