サウジアラビアで何者かが、警察の詰め所を襲撃し、流れ弾がパイプ・ラインに当たったようだ。被害は甚大ではなく、対応は済んだようだが、このようなことが起こることは、将来に大きな不安を感じさせるものだ。
サウジアラビアで起こった、今回のパイプ・ラインに対する(結果的に)破壊行為は、パイプ・ラインに対する攻撃が、サウジアラビア政府に大きな動揺を巻き起こすことを、内外に知らしめたものと思われる。
これまでも、何故反政府勢力がパイプ・ラインを破壊しないのか、不思議でならなかった。何千キロにも及ぶパイプ・ラインなわけであるから、攻撃はそう困難では、なかったと思われる。
パイプ・ラインに対する破壊攻撃が、これまで起こらなかったのは、多分、監視が相当厳しいからだろうと思っていた。しかし、今回の偶発事件は監視がそれほど厳しくない、ということを教えたのではないか。
事件が起こったのは、サウジアラビアの東部の街アワミヤで起こったが、ここはほとんどの住民が、サウジアラビアの王族や、大半の国民とは異なり、シーア派だ。そのため、長い間差別されてきた。シーア派のサウジアラビア国民は、政府の要職に就くことは、ほとんど不可能だったし、未だに差別はあるようだ。
これまでもアワミヤを含む、ルカテーフ地区では何度と無く、政府に対する抗議デモが起こってきたが、今回の動きはシーア派のリーダー・ニムル師に対する、サウジアラビア政府の死刑判決が原因であろう。
サウジアラビアのアルカテーフだけではなく、バハレーンのシーア派国民も、今回の死刑判決に対し、抗議デモを行っている。
ニムル師に対して下された死刑判決が、覆されることは無いと思うが、処刑が実行されるのは、延期される可能性があるかもしれない。ニムル師は既に、2年ほど収監された状態にある。彼に対する死刑判決が下されたのは、サウジアラビア政府を非難する、演説を行ったからだというものだ。