『ベンガジ空爆はエジプト機だが操縦はリビア人?』

2014年10月16日

 

 1015日に行われた、エジプト軍機によるリビアのベンガジ空爆は,ベンガジにあるイスラミストの拠点を、空爆するものだったが、情報は白黒に分かれている。つまり、エジプト軍機による空爆があったとするものと、それを否定するものだ。

 しかし、空爆はほぼ確実に行われたようで、ベンガジからの通報によれば、空爆は昼夜行われたということだ。しかし、もうひとつの情報では、空爆にあたったのは、エジプトの空軍機だが、操縦したパイロットは、リビア人だったというものだ。それは疑問符が付く、と言えるのではないか。なぜならば、空爆を夜間に敢行するということは、そう容易ではないからだ。

 加えて、エジプト軍機が飛び立ち、ベンガジのイスラミストの拠点を空爆しているのは、リビアの東部に位置する、高原都市ベイダ基地からだというのだ。攻撃の発信基地がベイダであるとすれば、せいぜい、ベンガジまでは150キロ程度未満の、距離にあることから、数分で到達することになろう。

 エジプト軍機による、ベンガジのイスラミストの拠点空爆の情報が伝えられた後、二つの興味深い情報が流れた。一つは、このエジプト軍機による空爆を、エジプトの大統領府のスポークスマンが、正式に否定したことだ。

 もう一つは、ハフタル将軍が今回の作戦を主導したのではない、というリビア側からの情報だ。しかし、リビア政府はハフタル将軍に代わって、今回の作戦を進めたのが誰なのかについては、明かしていない。他方で、ハフタル将軍は『新たなベンガジ攻撃は、内戦のターニングポイントだ。』と強調していることだ。

 つまり、正式にはエジプトのシーシ大統領も、今回の空爆に直接は関与していない、と言いたいのであろうし、ハフタル将軍も同様に、正式には関与していない、と言いたいのであろう。だが、エジプト政府はリビアのイスラム・テロリスト対応について、以前から強い関心を持っていたし、リビアの世俗は軍を訓練してもいたのだ。

 加えてエジプトは、海軍をリビア東部の港の沖まで送り込んでいる、という情報もある。エジプト軍は陸軍の派兵も、念頭に入れているのではないのか。これまでリビアの内紛については、幾つもの憶測が飛び交っていた。

その憶測は必ずしも憶測だけではないところに、問題がある。たとえば、リビアの世俗派側は、エジプト・サウジアラビア・アラブ首長国連邦の、強い支援を受けており、他方、イスラム・ミリシア側にはトルコとカタールが、後ろに付いているというものだ。

  シリアの場合もそうだが、アラブの一国の内戦では、いずれもスポンサー国が後ろにいる、代理戦争の形になっている、ということではないのか。そして、そのスポンサー国の後ろには、本当の首謀者がいるという構図だ。

 その前例と言えるのが、今年の夏に起こった、リビアのトリポリ空爆だったが、その時もエジプトとアラブ首長国連邦が、連携して実行したといわれている。