世界の何処の国でも、インフレが高進しているようだが、トルコもその例外ではない。エルドアン氏が大統領に就任して以来、それは何ら解決する方向には無いようだ。そのことが、結果的にエルドアン体制に対する、怒りに変わる時期が来るかもしれない。
トルコの労働団体が貧困ラインについて、報告書を出したが、それによれば、2000トルコ・リラ(10万円相当)が、最低賃金とされるべきだ、ということのようだ。トルコの公務員はかろうじて、この貧困ラインを超えているようだが、独身の民間労働者の月給は891トルコ・リラ(4万円相当)だということだ。他方、アパート代は平均で602トルコ・リラ(3万円相当)ということのようだ。
しかし、4人家族の家庭は最低でも4065トルコ・リラ必要であり、そのうち食費が950トルコ・リラで、収入の44パーセント程度に当たるとしている。住宅のレンタルも安く無く、結果的には交通費、健康、通信、教育に当てられるのは、収入のうちの625トルコ・リラ(32000円弱に相当)ということだ。
家庭の出費が434トルコ・リラ増えたが、公務員の場合、実際には123トルコ・リラの不足になっているということだ。
こうした諸物価の値上がりに加え、電気ガス代が9パーセント値上がりし、新たな家計への圧迫が起こっている。それが冬になると暖房費がかさむことから、ますます厳しくなるということだ。
加え果物、野菜、ナッツなども値上がりしている。物によっては二倍になっている物もあるようだ。
過去の貧困ラインの推移を見て見ると次のようになっている。
:2008年―2329TL(トルコ・リラ)
:2009年―2464TL
:2010年―2757TL
:3011年-3063TL
:2013年-3470TL
庶民の懐は相当に厳しくなってきている、ということであろう。これがどのような形で、何時暴発するのか。あるいはダウトール首相はこの危機を避けて通れるのか、お手並み拝見というところであろう。
トルコはシリアやイラクの戦争の影響を、強く受け国内でもクルド人のデモなどで混乱してきているだけに、極めて難しい局面に向かっている、ということだ。