いまトルコとシリアの国境にある、シリア側の街コバネでクルド側とIS(ISUL)とが、激戦している。あるいは、このブログが掲載される頃に、コバネは陥落し、ISの支配下になっているかもしれな。
戦う者同士が戦い、そして死ぬのはある意味では、仕方のないことかもしれないが、コバネの街がISによって落とされた後、街中で虐殺が起こるのではないかと懸念される。これまでのケースを見ると、何十何百人もの人たちが、ISによって街が落とされた後、虐殺されているのだ。すでにクルド女性が特攻作戦を行い、ISに対抗し犠牲になった、というニュースも伝わっている。
そこで問題は、このコバネのクルド人の危機的状況の中で、隣国のトルコはどう対応しているのであろうか。トルコのクルド人議員はダウトール首相に対し、支援を依頼したが反応は冷たかったようだ。
ダウトール首相に言わせれば、『FSA(自由シリア軍)と一緒になって、シリアのアサド体制と戦え。』ということのようだ。ダウトール首相はいまコバネが直面している危機的状況を、無視しているとしか思えない返事ではないか。
シリアからトルコに逃れていたクルド人や、トルコのクルド人がシリアのクルド人に加勢しようとし、シリア行きを試みたが、トルコ政府はこれを阻止している。もし、これを認めれば、ISの攻撃はシリア国内にとどまらず、トルコの南東部のクルド人居住区まで、拡大する危険があるからであろう。
トルコのエルドアン首相に言わせれば、『PKK(クルド労働党)もIS(ISIL)も同じテロリストであり、支援するわけ行かない。』ということのようだ。シリアのクルド組織YGPは、トルコのPKKと連帯関係にあるから、トルコの大統領としては、当然といえば当然の判断かもしれない。
「トルコはコバネから大量の難民を受け入れており、コバネが窮地に陥っているから救えというが、そのコバネのクルド人は、トルコ国内でクルドの分離独立闘争を展開している、PKKテロ組織と連携しているではないか。」というのがエルドアン大統領の言い分だ。
そのエルドアン大統領の理屈は、理屈としては成り立つかもしれないが、人道的にはどう考えても納得がいかないのは、私だけであろうか。このエルドアン大統領の立場は、今後PKKによるテロを、トルコ国内で増やしていくことに、繋がることが予測される。
ISとの関係はこれで、当分の間は安泰なように見えるが、将来はなんともいえない。欧米諸国はトルコのクルド人見殺しを許すだろうか。世界のマスコミはもし、コバネで大量虐殺が起こった場合、トルコのクルド人に対する、冷たい対応を許すだろうか。
シリアで起こっているIS による蛮行は、今後、トルコにとんでもない災禍をもたらしそうだ。