イランの宗教的最高権威者であるハメネイ氏が入院し、手術を受けたというニュースが流れた。それに伴って、ロウハーニ大統領が見舞い、犬猿の仲であったアハマド・ネジャド元大統領も見舞った 、と伝えられている。
こうしたことから、ハメネイ師の今回の入院は、あるいは死に繋がるのではないか、という憶測が飛び交っている。その場合、誰が後継者に就任するのかということは、イランの今後にとって、極めて重要な問題であろう。
イランの実質的権力機構である革命防衛隊は、どう考えているのかということも、問題であろう、革命防衛隊は2009年の大デモに際し、中立のような立場をとり、後ろから警察を使い、取り締まらせていたし、首謀者とみなされた大統領候補者らは、いまだに自宅軟禁下におかれている。
75歳に達する高齢のハメネイ師については、後継者を早い段階で決めておかなければ、国内騒乱のもとになりかねない、という不安が革命防衛隊内部にはある。そのため、革命防衛隊は自身に都合のいい候補者を、模索していることであろう。
革命防衛隊は現在、産業、外交、軍事と広い範囲にわたって絶対的権限を有しているし、イランの核開発では主導的立場にある。もし、革命防衛隊の意向に沿わない人物が、ハメネイ師の後継者になった場合、革命防衛隊は相当のダメージを、受けることになろう。
そこでいま考えられるハメネイ師の後継者だが、一人はアヤトラ・ムハンマド・ハシミ・シャフロウディ師、元法律部門のトップに位置した人物だ。彼の立候補はハメネイが、歓迎するだろうといわれているし、革命防衛隊も支持するだろうといわれている。
もう一人の候補者はアクバル・ハシミ、ラフサンジャニ師で、彼は元大統領であり、イラン革命勃発時の大建物といわれた人物だ。しかも、彼は欧米との秘密のパイプも持っている。しかし、彼は80歳の高齢に達しており、実際に立候補するかどうか疑わしい。
最後の候補者と予測されている人物は、アヤトラ・サーデク・ラリジャニ師だ。彼の兄弟は一人ラリジャニ氏は議会スポークスマン(議長)であり、世界的にも知られている人物だ。もう一人の兄弟は政府の要旨職にある。つまり彼と彼の家族は、イラン政界の重鎮だということだ。
これらの候補のなかから、後継者が選出されれば、あまり問題はないだろうが、それ以外の候補者が出てきた場合、しかも、彼が一定の支持を国民から受けている場合は、問題がこじれて行こう。在米のイラン人専門家たちは『そう簡単には決まらない』と暗い予測をしている。
こうした予測も大事だが、それよりも、ハメネイ師の健康状態が改善し、彼自身の意識がはっきりしているうちに、後継者を選ぶのが、一番困難が無く穏当なのではないか。