『エルドアン大統領に第二の危機迫る』

2014年10月 4日

 

 どうやら、トルコのエルドアン大統領にとって、今年の後半は、結構厳しい年になるようだ。8月に大統領に就任して以来、今度で二度目の危機に、直面しようとしているからだ。

 一度目の危機は、述べるまでも無い、ISISIL)に対する戦争への参加だ。この戦争参加がどのような結末を、トルコとエルドアン大統領にもたらすかは、現段階では断定できないが、決して好ましいものにはなるまい。戦費の負担、戦争の犠牲者、トルコ国内で起こるであろう、テロなどが予想できるからだ。

 今回新たに、エルドアン大統領が直面しようとしている危機は、極めて国内的なものだ。それはHSYKに関する問題だ。HSYKとはトルコの裁判官を管理する機関であり、裁判官に対する評価や任免権を持っている。

 このHSYKのメンバーは、22二人で構成されているが、エルドアン大統領がこのHSYKを、手中に収めることが出来れば、彼は当分の間、汚職疑惑を追及されることも、犯罪疑惑を追及されることもあるまい。

 しかし、もしHSYKに対する影響力を失えば、エルドアン大統領の汚職疑惑や、犯罪疑惑は、再度審理されることになろう。そうなれば、エルドアン大統領にとっては、極めて不都合であり、不愉快な事態となろう。

彼が賄賂を受け取っていたということは、ほぼ確実であり、それが今日まで逮捕に繋がらなかったのは、あくまでも彼が司法などに、大きな影響力を及ぼしたからに、他ならないのだ。

さて、このHSYKのメンバーを決める選挙が、今年の1012日に、行われることになっている。そこで選出されるメンバーは22人であり、そのうち4人はエルドアン大統領が指名できるが、他のメンバーは裁判官協会が1人、国会評議会が2人、最高裁判所が3人、最高裁トップが10人、司法相が1人、司法省顧問が1人ということのようだ。(内訳は不確か)

現段階で明らかになっている、エルドアン大統領派の人数は、エルドアン大統領の推す4人、司法相が推す1人、司法省顧問が推す1人と6人のようだ。あるいは国会評議会の推す2人も、エルドアン大統領側に回るかもしれない。それでも、エルドアンの意向を受けるメンバーは、8人にしかならない。

こうなると、HSYKはエルドアン大統領の意向に反して、裁判官を選定し、任命することになる可能性が、高いということだ。そうなれば、エルドアン大統領に関する汚職、犯罪容疑の追求は、新たに始まるということだ。

 HSYK の選挙結果に不安を抱く司法相は、既にHSYKに関する法律を改変することを仄めかしている。それで国民は納得するだろうか。