いまシリアとイラクで猛威を振るっているIS(ISIL)は、この地域だけではなく、世界的な展開をしているという報告が出た。
その報告によれば、IS(ISIL))を支持する組織は、アフリカから中東、そしてコーカサス、そして東南アジアまで、広がっているということだ。具体的にそれらの組織の名前を挙げると、エジプトのベイトルマクデス組織、リビアのアンサール・シャリーア組織、ソマリアのシャバーブ組織、ナイジェリアのボコハラム組織、そしてコーカサスのイマーラト・コーカサス組織。
次いで、パキスタンとアフガニスタンにまたがるタリバン組織、インドのインド大陸のアルカーイダ、インドネシアのジャマーア・アンサール・タウヒード組織、フィリピンのアブ・サッヤーフ組織だ。
当初、これらの組織はアルカーイダとの関係が、取りざたされてきたが、最近になってIS(ISIL)との関係を強め,アブバクル・バグダーディのカリフ宣言を支持する者が、増えてきている。たとえば、つい最近ではタリバンのなかの、ウズベキスタン解放運動などがその一つだ。
はたしてこの報告がどこまで正しいのかわからないが、たぶんに『アバウト』な報告ではないかと思われる。それはこうした組織間では、同じイスラムの原理主義の立場をとっていることで仲間だとし、お互いに親しい関係にある、と語る場合が多いからだ。
そうすることによって、各組織は他の組織の力も借りられ、国際的なイスラム原理主義運動というイメージを、作ることができるからだ。したがって、そう考えると各組織間の関係がどれだけ強いものなのかを、判断することはできない。
これらの組織がみなIS(ISIL)と結びついているのであれば、必ずそこには武器の流れと、資金の流れが存在しなければなるまい。それだけの資金力がいまのIS(ISIL)にあるのか、というと疑問がわいてくる。また運営能力が備わっているのかという点も考えるべきであろう。武器や弾薬の支給についても同様ではないか。
イスラム原理主義祖機器側には、すでに述べたような理由、自分の組織を国際的なイスラム原理主義の組織だ、と受け止めさせたいということから、連帯関係にあると主張しよう。他方、アメリカなどはIS(ISIL)がいかに危険で、国際的な組織であるかを、印象付けたいだろう。
アメリカがIS(ISIL)のイメージを、大きくすれば大きくするほど、世界はIS(ISIL)に対して脅威を抱き、アメリカの軍事行動を認め、軍事作戦に参加するようになろう。最近、IS(ISIL)はヨーロッパのイスラム教徒に対して、課税する方針であることを発表したようだ。
それがどのようなからくりによるのか見てみたいものだ。もし、そういう活動がうまく機能するようであれば、IS(ISIL)の世界展開は空絵事ではなくなろう。アメリカの軍事関係者が言っているように、IS(ISIL)にそのような能力があるのであれば、IS(ISIL)との戦いは30年戦争になってしまうかもしれない。