トルコでは10月12日に。HSYK (裁判官の任免権を持つ委員会)委員の選挙が行われる。この選挙で。エルドアン大統領を支持する者が多数を占めれば、エルドアン体制は磐石となろう。
それだけに、反エルドアン側はこの選挙を、何とか勝利に持ち込もうとしていた。HSYKの委員に選ばれるのは、エルドアン大統領の任命による者が4人程度であり、多くは裁判官や弁護士の委員によって、自由投票で選出されることになっている。
反エルドアン側はここに勝利の可能性がある、と踏んでいたのであろうが、状況はそれほど、甘くは無かったようだ。先日、ダウトール首相は『選挙結果が政府の望むものでなかった場合、その選挙結果を無視する。』と発言したのだ。つまり選挙はやるが、その結果次第では選挙結果を、否定すると言うことだ。
続いて先週、エルドアン大統領は『国家のトップとして、私にはBプランもCプランもある。それはHSYK委員選挙の結果次第だ。』と語ったのだ。これではどうやら、HSYKの委員選挙は形ばかりのものになっていく、ということであろう。
これは法律無視の典型であろう。裁判官の任免権を持つ、HSYKの委員選挙で、政府がここまであからさまに介入し、場合によっては選挙結果を、無視すると言うのだから。
何がこうまでも、エルドアン大統領に法律を無視した蛮行を、させるのであろうか。それは一言で言えば、彼の汚職に直結しているからだ。もし、HSYK委員の選挙で反エルドアン側(公正な選挙実施を望む人たち)が勝利すれば、中断になっていたエルドアン大統領と、その閣僚と家族たちの、汚職事件に対する取調べと、裁判が再復活し、やがては厳しい判決が出ることになるからだ。
裁判所には既に、警察が調べ上げた汚職に関するデータが、そろっていると言うことだし、検察側からも同様のデータが、上がっていると言うことだ。エルドアン体制の汚職に関する裁判が、停止状態にあるのは、エルドアン大統領による検察幹部警察幹部の更迭や、逮捕によるものだ。
そのことに加え、裁判官に対しても締め付けが働いている。今回のHSYK選挙では、もし政府の言いなりの投票をすれば、過去の裁判の過ちを帳消しにし、地位を上げ、給与も増やす、と政府側は持ちかけている、と言う情報がある。いずれの状況になるかは、あと数日で分かろう。今は選挙結果を待つのみか。