パレスチナ自治政府を主導するマハムード。・アッバース議長は、いま不安のなかに過ごしているようだ。今回のガザ戦争でガザを支配するハマース政府は、多くのヨルダン川西岸の住民の心もつかんだようだ。
2000人を超すガザ住民の犠牲は、ヨルダン川西岸住民の間に同情を生み出し、その状況で何もできなかったマハムード・アッバース議長に対する、怒りが込み上げているようだ。ガザ戦争は停戦状態でありまだ終戦したわけではないが、ヨルダン川西岸地区や東エルサレムでは、ガザ住民を支援するデモが繰り返されており、この中からも犠牲者が、生まれている。
マハムード・アッバース議長の無策無能が目立ったのが、今回のガザ戦争だったのではないか。本来であれば、パレスチナ自治政府の議長選挙が実施されているはずなのだが、マハムード・アッバース議長は選挙を実施した場合、敗北の可能性が高いことから、実施しようとしていない。
ハマースのマハムード・ザハル氏は、4月に交わされたハマースとファタハとの合意では、6か月以内に選挙が実施されていることになっているが、マハムード・アッバース議長には選挙を実施する、度胸は無いと語っている。
ガザの空港や港の再建について、マハム-ド・アッバース議長はイスラエルにおもねり、許可を得ようとしているが、マハムード・ザハル氏はオスロ合意で、パレスチナ側が空港港を建設する自由は、認められていると語った。
確かに、マハムード・アッバース議長に対する支持率は、だいぶ落ちているようだ。つい最近行われた与論調査の結果では、支持率が10パーセントを切る段階に、近づいているということだった。
ガザ戦争の影響は、マハムード・アッバース議長に対する、支持率を下げたばかりではない。これまでおとなしくしていた、ヨルダン川西岸の住民も、ガザ住民同様に戦おうという意思が、強まってきているのかもしれない。
最近の世論調査の結果によれば、第3インテファーダが起こることを支持する、ヨルダン川西岸地区住民の割合は、57パーセントにも及んでいるのだ。この逆に、インテファーダが起こることを支持しない住民の割合は、32パーセントとなっており、彼らの答えは『そういうことが起こることを期待していない。』という弱いトーンのものだった。
間接的ではあるが、パレスチナ人の間にもISIL(IS)の影響を、受けている者たちがいるかもしれない。強硬な手段が一定の成果を生み出す、と考える人たちが増えているのかもしれない。そうなるとイスラエルは、ますます不安の色を、濃くすることになろう。